2020-01-01から1年間の記事一覧
空を渡る鳥、緑滴る丘陵、不吉な夕焼け、暖色系を効かせた場面、寒色系を効かせた場面。がらんとした家に置かれたタウトの椅子。 厳しい表情で椅子の設計図を描く巨匠と、真剣なまなざしでそれを見つめる少年。一人で考え込む青瀬、友や家族と語り合う青瀬、…
横山秀夫の原作は未読。 大森寿美男はもっとも信頼できる脚本家の一人である。今回のドラマ化にあたり、横山から出された条件の一つが今まで通り脚色を大森が担当することだったという(『TV navi』1月号)。この二人がタッグを組んだ土曜ドラマ『クライマー…
明治初期、人々の価値観が変わり奇妙な事件が多発する。洋行帰りの特命探偵・結城新十郎が謎に挑む。 脚本には期待できないので、開化期の風俗が楽しめれば御の字、と思って録画。NHKなんだからその気になればもっと撮影で魅せることができるのに! と惜しま…
池波正太郎の原作は未読。 鰺岡藩の暗君に打擲を加えた源四郎。源四郎を討てと上意を受けた十兵衛。二人の数奇な人生が交錯する。 心に沁みる時代劇である。 松竹が撮影に協力しているだけあって画面作りに安定感あり。日本各地の四季折々の美しい自然も堪能…
下調べゼロで、気晴らしになりそうというだけで鑑賞したが……大当たりだった。ネズミが苦手な人を除けば、幼児から後期高齢者までハラハラドキドキ、クスクス笑って時どきホロリ、と104分楽しめること請け合いのエンターテインメントである。『鬼』の映画が満…
11月に録画した時点では局名は”シネフィルWOWOW”。12月に入って”WOWOWプラス”と改名した由。JCOMと契約した時点では”イマジカ”だったが、なぜ451chだけころころ変わるのだろう……。 IT企業が経営するメディノックス医療センターでは、医学者の鈴木哲郎(向井…
池宮彰一郎の原作は未読。 1963年公開――もちろん見たのはテレビ放映――のぴりっとした工藤栄一作品や2010年公開のグロとパワー全開の三池崇史監督作品に引けを取らない映像化で、堪能した。 *近年のNHK BS時代劇は蝋燭に照らされた夜の邸内の撮影がことに魅…
黒沢清と言えばキーワードは「不穏」である。『CURE』は文句なしに不気味なホラー映画であったし、ドラマW枠で放映された『贖罪』は救いのないストーリーを増幅させる演出で胸糞悪いことこの上なかった。(←誉め言葉) *黒沢映画にしてはずいぶんとわかりや…
表紙と人物紹介以外はネタバレなし *加部谷が出てくる作品としては、久々に鈴木成一デザイン室がカバーデザインを担当。森博嗣のノベルズとしては、今までのメタリックなデザインと打って変わったブルー基調の海辺の光景なので、さわやかな青春小説っぽいの…
大森寿美男のオリジナル作品となれば、見ないわけにはいかない。この人が手がけた土曜ドラマは2005年以降、コンプリートしている。なかでもオリジナル作品『TAROの塔』、脚色作品『クライマーズ・ハイ』、『55歳からのハローライフ』、『64(ロクヨン)』の…
先月終了した『すぐ死ぬんだから』夫の死後、隠し子がばれたり、ヒロインに思いを寄せてきたみたいなポーズを取る男が実は結婚していたとわかったり……。いくらでもベタベタドロドロしたムードになりかねないところ、ハードボイルド・タッチが得意な松岡錠司…
内館牧子というと、自分はお呼びでない人というイメージだったが……大河『毛利元就』と時代劇『白虎隊』(2007年)は視聴済みであった。高齢の名女優、三田佳子が主演なので、まあ生きているうちに拝んでおくかと思い録画開始。 日本のホームドラマにありがちな…
土曜深夜『ブレイキング・バッド』(AXN HD 海外ドラマ) うだつの上がらない化学教師が自分の余命が短いと知り、家族のために麻薬製造でひと山あてようともくろむが……。疾走するトレーラーハウスと宙を舞うズボン――シュールな冒頭からぐいぐい惹きつけられ…
https://quillette.com/2020/06/02/a-rainy-day-in-new-york-a-review/ 以下は、自由思想を旨とする”Quillette”の記事の部分的な紹介。全訳ではない。[]内は私見。 ローナン・ファローは新進気鋭のジャーナリスト。ハーヴェイ・ワインスタインを糾弾する記事…
https://www.theguardian.com/film/2020/may/29/do-i-really-care-woody-allen-comes-out-fighting 以下は、”The Guradian”の記事の部分的な紹介。全訳ではない。[]内は私見。 二十歳のウディ・アレンは、作家ダニー・サイモンからコメディについてのルール…
ネタバレあり。 ギャツビーとアシュレーは、ニューヨーク州北部のこじんまりした大学に通うカップル。大学新聞の記者でもあるアシュレーは、映画監督ポラードに取材するためマンハッタンまで遠出する。ギャツビーは恋人に街を案内してやりたくて同行し、(親…
『黒書院の六兵衛』ほどおもしろくはないのでちょいちょい1.3倍速で早送りしながらだが、録画をチェック。 『誘拐』(監督:小林義則)五十嵐貴久の原作は未読。韓国大統領来日を控えた夏。歴史的な日韓友好条約締結を前に、警察が全勢力を挙げて大統領警護…
原作漫画好きの家人につきあってワンクール視聴することになり……疲労がたまる予感。当方は原作未読である。 石原さとみ主演の『校閲ガール 河野悦子』は校正と編集の仕事を混同した作りがひっかかったが、今作は薬剤師の仕事とナンカをごっちゃにするのかし…
期待半分で見たドラマ二つ、どちらもおもしろかった。偶然、二作とも主役が吉川晃司。 2018年、WOWOWで放映した『黒書院の六兵衛』をシネフィルWOWOWで6話、一挙再放送。名手、浅田次郎の原作は未読。江戸城明け渡しが決まり、将軍が城を出ていく。五書院番…
東村アキコの原作は未読。あまりに小池栄子の評判がいいので、第3話から録画視聴。第2話はネットで再生できたが、初回を見ていないので勘所は抑え損なっていると感じる。 素人探偵の明智五郎が、弁当屋を営む小林苺――明智は執拗に「小林一号」呼ばわり――を助…
松本清張の原作は未読。ほかの映像化作品も未見。 さすがNHKと感じたのは夜間シーンの照明で、バーの場面など『あてなよる』のスタッフが担当? と思うくらいムードたっぷり。絵作りも音楽も谷原章介と浅香航大の声も落ち着いていて、ストーリーも「最後は誰…
たいていの大河では4~6月あたりに主人公の父親的存在が退場、代替わりが行われる。今回はそれに当たる一つの山場である。作り手が力を注いだのは道三の死の見せ方だったろうし、視聴者側も多くはそこが目玉と感じたようだ。 自分は明智家の代替わりの場面と…
2019年に放映されたインタビューの未放送部分も足して再放送したもの。 『ジャック・アタリ大いに語る』フランスの経済学者、思想家、作家。いかにもNHKが選びそうなグローバリストという印象。「日本は中国の工場とは切っても切れない」だの「もっと中国人…
「暗い、見にくい」と苦情が来ないように画面を明るくし「むずかしい」と言われないように諱呼びを多用し難解な用語は避け「男偏重」と煽られないように女性の出番をふやす……という工夫を強いられていると想像するので、本来の好みではないと文句は言いたく…
首がゴロン、腕がゴロン。このご時世によくがんばって『柳生一族』のリメイクをした。その意気やよし! 横溝正史シリーズと同じチャレンジ精神を感じる。肉親だろうと仲間だろうと、目的のためなら手段を択ばずコロコロしていく人々。久しぶりにテレビ画面か…
闇夜に浮かぶ赤い提灯。 川面に映る赤い提灯。ヒロインの赤いドレス。赤い金魚。赤が映える、陰影に富んだ映像美を堪能した。終盤の水中撮影にドキドキ。青山氏はタルコフスキーのファン? 荻原浩の原作は未読。お仕事ドラマの傑作『ボーダーライン』で名前…
小粋で軽快で楽しかった。とくに、トランクルームでの鈴木慶一のBGMを使った演出が一番印象的。新田真三Dは初見……ではなく、緊張感があって好みの『七つの会議』やいまいちノレなかった『トクサツガガガ』を担当した人だったのか。今回はコメディセンス抜群…
本放送は1983年4月~1984年3月。1981年の流行語が「クリスタル族」、1984年の流行語が「マル金」。日本中がなんとなく浮かれていた時代に放送されたドラマである。明るい時代だからこそ、ああいうしんどいドラマがヒットしたのだ、という説は当たっているの…
『重版出来!』以来、実に4年ぶりにほんとうに見てよかったと思える民放の現代ドラマが2本登場した。 『左手一本のシュート』原作はノンフィクション『左手一本のシュート~夢あればこそ! 脳出血、右半身麻痺からの復活』(島沢優子 著)。原作未読だが、吉田…
地上波:『剣客商売』スペシャル『婚礼の夜』久々に三冬と大治郎のキャスティングに納得したので、録画視聴。『鬼平犯科帳』で楽しませてくれた山下智彦D。今回も安心安定の演出で、まだまだ続けていただきたいと思った。『麒麟がくる』の撮影もこのドラマく…