2014-01-01から1年間の記事一覧

今年の拾いもの

*ハードボイルド百花繚乱とはならず、『ロンググッドバイ』は演出家の好みが暴走した珍品、『MOZU』は後半脚本が迷走して惜しい作品となってしまった。それでも、前者は映像美が記憶に残るし、後者はスタッフ、キャストの思い入れが熱く伝わってくる意欲作…

『信長協奏曲』終わる

まさか大河に挫折して、月9をおもしろがる日が来るとは!細かいところはどうでもフィクションとして芯が通っていれば、視聴者を引き付けられるよい見本だった。イケメンや綺麗なお姉さんがべらべら「戦はあきません」、「結婚は愛する人とするもの」とまく…

神谷の旦那が帰ってくる!! プラスほかの来年の楽しみ

http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/7000/205479.htmlいや~、数か月ぶりの滾るニュースである。どう考えても続編は作れない終わり方だったので、『神谷玄次郎』とはこれでおさらば、5話ですっぱり終わるところが粋で潔い……でも、名残惜しいと思っていた…

『オリエント急行殺人事件』キャスト出そろう

4年前の三谷作品『わが家の歴史』(フジテレビ開局50周年特別企画)は、NHKやテレ朝では絶対に作れないタイプの傑作だった。今回は、三谷幸喜と野村萬斎がタッグを組んでクリスティー作品をリメイク。心躍る企画である。三谷作品は、舞台≧ドラマ>>>映画。…

『ダークスーツ』第4話までを見て

なんだかものすごく前のめりな演出で、ときどき背中がむずむずする。BGMも過剰ぎみ。4話で、エンディングテーマが流れ始めてからの、謎の女性が松木をひっぱたいて抱きしめられるスローモーションは、まったくいただけない。ああいうのを韓流趣味というのだ…

『リスボンに誘われて』(ビレ・アウグスト監督)

タイトルから想像するほどお気楽な話ではなかったが、ミステリと老いのとば口に立つ男の再生物語がほどよく混ざったかなり見やすい映画。完全な娯楽路線というよりは文学的といってもいい内容なので、タイトルは原題通りの『リスボンへの夜行列車』のやや硬…

『ボーダーライン』

民放とは格の違いを見せつけている。つつましいサイズ、端正な字体の「土曜ドラマ」が画面に映るだけで、この安心感。初回はドキュメンタリー・タッチを狙ってカメラを動かしすぎるので、見ていて若干疲れたが、2話目からは落ち着いた作りになった。VFXの進…

今季の連ドラ

『ごめんね青春!』脚本が宮藤官九郎なので、たとえ途中で中だるみしても完走するつもり。この人の作品は、中年の活躍が主体の『うぬぼれ刑事』が一番好きだが、これは『木更津キャッツアイ』寄りの学園ドラマ。やや耳障りな声のヒロインが男子学生に盗撮疑…

『闇の狩人』

*時代劇専門チャンネルで、前編、後編、一挙リピート放送! 10月18日午後4時~ 11月3日午後8時~ 謎解きに関するネタバレはなし。 下半期のほぼ唯一と言っていい楽しみが終わってしまった。 放送時間が半分だったために、余分なものはかけらもなかった印象…

『吉原裏同心』第12回

一度は越中山岡藩の剣術指南役の依頼を受けた幹殿が、自分の役目は吉原の女たちを守ることと思い直し、めでたく吉原永住を決める大団円。 帰ってきた神守夫妻に、おそらくは会頭の肝いりで売れっ子花魁たちが大サービスの宴会を開く。駆け落ち夫婦にとっては…

『おやじの背中』雑感

毎回脚本家を変える意欲作が終了した。極私的には、一に第五話『ドブコ』(木皿泉)、二に第八話『駄菓子』(池端俊策)、三、四がなくて五に第十話『北別府さん、どうぞ』(三谷幸喜)。木皿の軽快さが心地よく、池端の男の夢追い物語は、甘さと辛さの塩梅…

『吉原裏同心』第11回

幹殿が、仇討ちされる側を助太刀する話。汀女は武家の妻らしく夫を送り出し、薄墨太夫は止めようとする。これ、原作だとどんな理由づけなのだろう? 前回まで、薄墨太夫は吉原の女としての誇りを持つだけでなく、武家出身の名残もすこしはある人のように見え…

『吉原裏同心』第10回

優しさから出た嘘。嘘から出た実を期待して、相手をする優しさ。幼稚園向き道徳劇とは一線を画す人情劇が心に沁みる。 玉藻に言われた若者たちの仲立ちを、神守夫妻に押しつけてしまう四郎兵衛。近藤正臣のもじもじ芝居が笑えた。 先週、先々週と薄墨太夫成…

『春、バーニーズで』(2006年、WOWOW)

同名の原作(著・吉田修一)を、故市川準が脚色、監督。絶対にテレビ的ではないゆったりしたテンポや子供の撮り方が是枝裕和を思わせる。明確に違うかのがどこかはよくわからない。主人公の筒井はどちらかと言えばエリートサラリーマンの部類のようだが、登…

『吉原裏同心』第8回

しばらく遊女が中心となる話が続いてきたが、今回は神守夫妻が主役で、さらわれた妻を取り戻したり、頭取の命を守ってちゃんばらしたりと、幹殿が大活躍……したはずなのだが、だんびら振り回す幹殿より手ぬぐい構えただけの頭取のほうが強そうに見えてしまう…

『撃墜』後編とフジのスペシャルドラマ

紫電改のスコープの仕組みを説明してほしかった。 前回予告を見た時の危惧は当たらず、後味が良い。日本の二次大戦ドラマはたいがい偉そうな反戦主義者が出てきて国体批判なぞを始めるものだが、主人公も妻もヘンな豹変によるキャラ崩壊とは無縁で、地道に真…

『実録・小野田少尉 遅すぎた帰還』(2005年)

リピート放送 ファミリー劇場で8月15日11:20-13:30 軍人の行動と中野学校での訓練の結びつきを描いた貴重なドラマ。終戦後、三人でゲリラ戦を行っていたこと、たびたび日本側から帰国の呼びかけがあったことは初めて知った。くどいBGMなどやたらと感情をあお…

『おやじの背中』第五話

先週は『バブル』のゴールデンコンビ、鎌田&渡瀬が復活したにもかかわらず、型にはまった夫婦描写、世代描写にものたりなさを感じた。 今回は木皿泉脚本が親子関係の変わる面、変わらない面をさらりと描いて秀逸。第一話はなかよし親子ごっこと疑似夫婦の混…

『撃墜』前編

この内容で一時間半必要だったのか? ドキュメンタリードラマというよりイメージビデオのようだった。せっかく紫電改を扱いながら、性能の説明があっさりしすぎ。NHKお得意の絶叫説教ドラマでないだけましというものか……予告からすると来週はそうなりそうな…

『吉原裏同心』第7回

これほどひんぱんにNHKドラマで花魁の八文字を拝めるとは予想もしなかった。そして、今回は薄墨太夫をメインにした話。 薄墨太夫が「私は恐ろしくなりました」と言ってわざわざ隣の部屋へ歩き出し、走って戻ってきて「だったら、なおさらあのような人にして…

『吉原裏同心』第6回

無実の罪をきせられた遊女を、神守夫妻たちの奮闘で救う話。 いきなり天紅とは艶っぽいというか生々しい。ああいうことをやって一番いやらしくならないのが徳永えりかもしれない。彼女はもちろんよかったけれど、できればほかの時代劇でもっと出番の多い役を…

これからの時代劇など

スカパーでは9月、時代劇専門チャンネルでは10月にオリジナル時代劇『闇の狩人』放送決定!! 堂々3時間の長編で、前後二回に分けるようだ。『鬼平』、『剣客』、『梅安』――池波正太郎の魅力ここに結集! と言われればいやでも期待が高まる。主演は『夜兎の…

『幕末高校生』

ネタバレおよび後半の不機嫌注意 歴史ヲタク時代劇マニア映画ファンははなから相手にしていない企画なのはわかっていたのだから、感想を書くなど大人げないことではあるのだが。まずは、意外とよかった点から。・伊武雅刀のコメディ演技。出番が短かったから…

『吉原裏同心』第5回

今回は、すんでのところで吉原から引き返すことができた少女のお話。宮武美桜ははじめて見たが、つぶらな瞳が時代劇向き。柳沢慎吾はあまり騒がず、悪気はないけどだらしない父親を好演。吉原の住人や客の掟破りはけっして許さないかわり、ほかに手だてがあ…

『MOZU Season 2~幻の翼~』Episode 5

コロー島についてのディスカッション・シーン。「この先に、ロシアの施設があるんですよね」「今は誰も住んでない無人島なんですね」~ですね、~ですよねって、視聴者への説明のための台詞なんだが、脚本も役者の言い回しも、MOZUの世界観に合ってない。し…

『吉原裏同心』第4回

ゲスト女優と会所の男衆の魅力が光る回だった。 番方たちが心中未遂をやらかした男を引っ立て、仙右衛門を先頭に会頭の前に控える様子がなんともいい。甘いもので懐柔される怠慢な奉行もなんともユーモラス。帰る奉行と「ご苦労様です!」と挨拶する番方たち…

『MOZU Season 2~幻の翼~』Episode 3~4

倉木がテロリストをペットボトルで水責めにするやり方は、理にかなってはいるのだが、絵づらでカタルシスを出すには、髪ひっつかんで顔を池に突っ込むやり方のほうがいいのではないか……学校の感想文で書いたら、一発で不合格がつくな、あるいは職員室に呼び…

『軍師官兵衛』第28回『本能寺の変』

苺 パンツの信長だ15 8 2 年 本能寺の変と、受験生が覚えてくれればそれでいい。 本能寺の庭がまさに芋を洗うがごとき混雑ぶり。こんなのは見たことがない。スタッフが、せめて台詞と無関係な部分でがんばろうとしていることがうかがわれる。「生か、死か」…

『55歳からのハローライフ』第5回

――死ぬよりおっかないことは 俺が俺じゃなくなっちまうことだ ――誰が逃げるもんか、逃げてたまるかぁ! のっけから目にしみる美しい緑で、こりゃー対照的に悲惨な現実が出てくるんだろうなと身構えた。 因藤はハローワークに6年も通っている。腰痛持ちは事実…

『吉原裏同心』第3回

おもしろいなー、『汀女と吉原の仲間たち』は!先週は、最後に手を合わせる奥菜恵の美しさ、いじらしさに胸打たれたが、今週は野々すみ花に持っていかれた。一流の交渉人の側面を見せる悪奉行とのやり取り、悲しみと怒りをこめて「悪人にはきっと天罰が当た…