映画

アクション、アドベンチャー映画三昧

邦画より洋画、それもアクション多めの映画を多く見た年だった。 〆は「いとこたちの戦争」にフィクショナルな陰謀組織をからめた快作『キングスマン ファースト・エージェント』。ローテクなアクションに心躍り、ラスプーチンのコサックダンスに笑い、めそ…

大森寿美男フルスロットル!

時代劇専門チャンネルで『鬼平犯科帳』、『仕掛人・藤枝梅安』の新作発表があった。 『梅安』の過去作は一回くらい見てそれきり。新作にも興味はなかった。 『鬼平』は中村吉右衛門にとどめを刺す。時代劇関係者もあらたな『鬼平』は作りづらかろうと思って…

『すばらしき世界』(監督:西川美和

ネタバレあり。 「娑婆は辛抱の連続じゃけど、空は広か、ち言いますよ」 姐さんのこの台詞を聞けただけでも、この映画を見た甲斐あり。監督の取材力のたまものなのか、想像力のたまものなのか、自由を言い表すのにこんないい言葉があったか! と感動した。 *…

『魔女がいっぱい』(監督:ロバート・ゼメキス)

下調べゼロで、気晴らしになりそうというだけで鑑賞したが……大当たりだった。ネズミが苦手な人を除けば、幼児から後期高齢者までハラハラドキドキ、クスクス笑って時どきホロリ、と104分楽しめること請け合いのエンターテインメントである。『鬼』の映画が満…

『スパイの妻』(監督:黒沢清)

黒沢清と言えばキーワードは「不穏」である。『CURE』は文句なしに不気味なホラー映画であったし、ドラマW枠で放映された『贖罪』は救いのないストーリーを増幅させる演出で胸糞悪いことこの上なかった。(←誉め言葉) *黒沢映画にしてはずいぶんとわかりや…

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』海外レビューその2

https://quillette.com/2020/06/02/a-rainy-day-in-new-york-a-review/ 以下は、自由思想を旨とする”Quillette”の記事の部分的な紹介。全訳ではない。[]内は私見。 ローナン・ファローは新進気鋭のジャーナリスト。ハーヴェイ・ワインスタインを糾弾する記事…

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(監督:ウディ・アレン)

ネタバレあり。 ギャツビーとアシュレーは、ニューヨーク州北部のこじんまりした大学に通うカップル。大学新聞の記者でもあるアシュレーは、映画監督ポラードに取材するためマンハッタンまで遠出する。ギャツビーは恋人に街を案内してやりたくて同行し、(親…

上半期の映画

『マダムのおかしな晩餐会』(監督:アマンダ・スティール)階級社会フランスを舞台にした有毒成分高めのコメディ。リッチなマダムの強引さにドン引き。最後をポジティブに終わらせたいにしても、若干無理のあるエンディングと感じた。 『ヴィヴィアン・ウェ…

『未来を花束にして』(監督:サラ・ガブロン)

シネフィルWOWOWで視聴。 最後に"世界の国名"とそこで婦人参政権が認められた年が延々流れる。東アジアは中国以外はシカトであった。性差別はだめでもアジア差別はOKですか。 東アジアは総スルーにしたかったけど、チャイナマネーの御威光に屈しただけ? 原…

『散り椿』(監督:木村大作)

ストーリーに関するネタバレはほとんどなし。 木村監督による美しい撮影、だれない演出、岡田考案&実演による見事な殺陣、十六頭立ての馬の疾走シーン。オールドファンには嬉しい時代劇だった。主人公の妻の真意を解き明かすミステリ映画にもなっている。「…

『女と男の観覧車』(監督&脚本:ウディ・アレン)

ここではないどこかを夢見る元端役女優のお話。80代に入っても精力的に映画を撮り続けるウディ・アレン。あと何作楽しませてくれるだろうか。 不幸な結婚生活を送っている……と思っている主婦が若い男と恋に落ちる。『カイロの紫のバラ』風味かと思いきや、か…

『空飛ぶタイヤ』(監督:本木克英)

原作未読。WOWOWドラマの出来を超えるのはむずかしそうだけど、主演が長瀬智也氏ということで少々興味を持って鑑賞。極私的にはWOWOW超えの要素はごく少なかったものの、まっとうに戦う者が勝利するジャンルの邦画としては良作の部類と感じたし、クライマッ…

『ワンダーウーマン』(監督:パティ・ジェンキンス)

訛ってるけど可愛いお姫様だった!母上も訛らせるためにデンマーク出身のコニー・ニールセンを使ったのか、それともガボットの発音を真似させた? アメコミにはまったく不案内だが、あまりにも目利きの方々が推奨するので、『ガーディアンズ・オブ・ギャラク…

映画三昧

『ロイヤル・ナイト』(監督:ジュリアン・ジャロルド)エリザベスに思慮がなさすぎ、マーガレットに品がなさすぎで、極私的にはちょっと残念な『ローマの休日』。『ローマ』のオマージュ探しの楽しみは提供している。自分はギターネタしかわからず。ロンド…

『シン・ゴジラ』(総監督:庵野秀明、監督・特技監督:樋口真嗣)

ネタバレあり。 後方に坐った子ゴジラがときおりガサガサモソモソするたびに集中力が遮断されたが、それ以外ではどっぷり庵野の映画の世界にひたれた二時間であった。この手の作品を見るときはメタにおもしろがるだけで終わりがちなヒネコビタ映画ファンには…

『杉原千畝 スギハラチウネ』(チェリン・グラック監督)だらだらメモ

ネタバレあり。シネフィルの「予告から想像するようなお涙ちょうだいじゃない、上出来の諜報ドラマだ!」とのつぶやきに影響されて鑑賞。監督は日本生まれ、日本育ちの日系アメリカ人。父はユダヤ系米国人、母は日系米国人。 ・冒頭からアクションシーンで引…

『劇場版 MOZU』(監督:羽住英一郎)

(ネタバレなし)シーズン2でストーリーが破たんしたので映画はスルーと思っていたが、映画館ならではの轟音と迫力のある絵を楽しむために鑑賞した。土曜の午後だってのに、興行収入二週連続第一位の映画にしちゃ客の入りが50人ぽっちで、田舎で残念。せっか…

『千年の愉楽』(監督:若松孝二)

TVでノーカット放送を視聴。R15+相当扱いだが、扇情的な描写は避けられている。 紀州が生んだ鬼才・中上健次の代表作『千年の愉楽』を、若松孝二が映画化。舞台となったのは、眼下に美しい尾鷲湾を見下ろし、背後には紀州の深い緑が連なり、斜面に建つ趣ある…

『リスボンに誘われて』(ビレ・アウグスト監督)

タイトルから想像するほどお気楽な話ではなかったが、ミステリと老いのとば口に立つ男の再生物語がほどよく混ざったかなり見やすい映画。完全な娯楽路線というよりは文学的といってもいい内容なので、タイトルは原題通りの『リスボンへの夜行列車』のやや硬…

『幕末高校生』

ネタバレおよび後半の不機嫌注意 歴史ヲタク時代劇マニア映画ファンははなから相手にしていない企画なのはわかっていたのだから、感想を書くなど大人げないことではあるのだが。まずは、意外とよかった点から。・伊武雅刀のコメディ演技。出番が短かったから…

『超高速! 参勤交代』

三池版『十三人の刺客』からグロを引いて、人の情けが報われる話とヒロインの華と、さんざんハラハラさせた末の後味のよさを加えたウェルメイドな時代劇。『そこのみにて光輝く』に見られるベストワンを争うような陰影はないが、映画館で楽しい気分を味わい…

『永遠の0』(ネタバレだらけ)

ここ数年の和製戦争映画で秀作と言い切れるのは『太平洋の奇跡』くらいで、あとはイーストウッドが栗林中将を描いた『硫黄島からの手紙』に遠く及ばないものばかりなのがじつに残念。『永遠の0』はひそかに尊敬するミリヲタさんも絶賛していたので期待して…

『ジョーカー・ゲーム』映画化決定!

http://eiga.com/news/20140106/1/う~~むむむ、結城中佐は伊勢谷友介ですか。白洲次郎といい、中佐といい、四十過ぎてからの玉木宏にやってほしかった役をかたっぱしからこの御仁がさらっていくなぁ。連ドラなんぞに出ずに高級イメージ保ってるからこその…

今年の映画

『渾身』(錦織良成監督)隠岐諸島伝統の古典大相撲を描いた作品。一月に見たのでほぼ記憶のかなたになってしまった。おぼろげに印象に残っているのは、豊かなローカル色、主演の青柳翔の茫洋とした魅力、新人監督ではないのにややぎこちない編集。 『探偵は…