2015-01-01から1年間の記事一覧

『あさが来た』日本女性の恋人登場

朝ドラも半分終了。現在日本で(その人が載っているお札が)一番人気の福沢諭吉の登場は気になっていた。彼も無事無事登場したし、いちおうこれにて視聴終了。以下、異常長文注意。 11月上旬と現時点をくらべると、極私的評価は上出来ドラマから"ドーナツみ…

『杉原千畝 スギハラチウネ』(チェリン・グラック監督)だらだらメモ

ネタバレあり。シネフィルの「予告から想像するようなお涙ちょうだいじゃない、上出来の諜報ドラマだ!」とのつぶやきに影響されて鑑賞。監督は日本生まれ、日本育ちの日系アメリカ人。父はユダヤ系米国人、母は日系米国人。 ・冒頭からアクションシーンで引…

ドラマ、ゆく年くる年

今年は『64(ロクヨン)』、『洞窟おじさん』、『経世済民の男』シリーズ、『天皇の料理番』、『大杉探偵事務所~砕かれた過去編』がほぼ横並びのベスト5。次点で『一番電車が走った』。『料理番』は最近の大河に欠けた部分を描いているところが好きだった…

師走の時代劇

今年はBS時代劇『神谷玄次郎捕物控2』(高橋光臣主演)がダントツ、あとは木曜時代劇『まんまこと~麻之助裁定帳~』(福士誠治主演)くらいか……と思っていたら、今月は予想外の時代劇サービス月間だった。来年公開の映画『真田十勇士』(堤幸彦監督)では、…

『大杉探偵事務所~砕かれた過去編』

『64(ロクヨン)』、『経世済民の男』シリーズ、『洞窟おじさん』。今年のドラマはNHKの一人勝ち状態だったが、本作はそれに迫る力作。精神的にダメージを受けたくないときには絶対に見てはいけないハスミ・ノワールの佳作だ。劇場版と同じくPG12にしてもよ…

今季の連ドラ

『おかしの家』地上波はこれ一択。石井裕也が描く、おおむね優しくときに残酷な寓話的世界。なんといっても柳田裕男(撮影)の作り出す画面が温かい。フィルム撮影なのかと思ったが、たしかめる術なし。いつつぶれてもおかしくない駄菓子屋の裏庭でだべる男…

『劇場版 MOZU』(監督:羽住英一郎)

(ネタバレなし)シーズン2でストーリーが破たんしたので映画はスルーと思っていたが、映画館ならではの轟音と迫力のある絵を楽しむために鑑賞した。土曜の午後だってのに、興行収入二週連続第一位の映画にしちゃ客の入りが50人ぽっちで、田舎で残念。せっか…

『あさが来た』6週と2日経過

『あさが来た』はひと言で表すならまぎれもないプロの職人芸だ……好き嫌いはともかくとして。 どんなドラマを展開するのか方向やルールが明確で、メインストーリーはわかりやすく、話のつじつまが合い、道徳的な不快感はなく、知的な緊張感を強いることはなく…

『大杉探偵事務所~美しき標的編』

予想以上に愉快なメタ・ドラマ。スタッフがMOZU本編、刑事ドラマ、ハードボイルド、芸能界などの素材で好き放題遊んでいた。ゴールデンにこんな自由がまだあるのかとちょっぴり驚いたり、TBSはドラマに愛があるのだなと思ったり。脚本担当の仁志光佑は――本人…

『あさが来た』お師匠さんの出番が少ない件など

コミカド弁護士のご高説を聞かずとも、朝ドラは自分向きではなさそうなので、過去に見たのは三作品のみ。ダントツに好きなのは変化球と言われた『あまちゃん』、二番目に好きなのは朝ドラにしてはヒロインの柄が悪いと言われた『カーネーション』。『マッサ…

『洞窟おじさん』完全版始まる

13歳で親の虐待から逃れ、43年間サバイバル生活をしていた男の半生 という情報を先に聞いていたら食指は動かなかったが、7月に番組PRを見かけ、オノマチが出ているならと2時間版を見て……大正解だった。いくらでも湿っぽく演出できる話ながら、かなり抑え目の…

超低速! 『鬼と呼ばれた男~松永安左エ門』感想

予想どおり鋼太郎がウルサイウルサイ。松永のキャラクターも強烈なだけで特に魅力的というわけでもなかったが、画面の絵作り、音、物語とも、三作中もっとも力強いドラマだった。しいて言えば、『是清』の魅力はしみじみした味わい。『一三』の魅力は軽妙な…

超低速! 『小林一三~夢とそろばん』感想と大河ネタ

「森下佳子はオリジナルだと失敗する」説を聞いていたので、恐る恐る鑑賞……が、オリジナルだけどおもしろかった。主人公の思考と行動をしっかり脈絡をつけて描き出す脚本もよかったが、それ以上に梛川善郎の演出が強烈で、やたらとミュージカルじみたシーン…

『経世済民の男』シリーズ『高橋是清』の感想と『おかしの家』への期待など

高橋是清が生きた80余年を、二時間で一気に駆け抜けた。「財政の天才」の側面を存分に描き切ったとは言いがたいが、政財界の要人たちとの折衝、女や子、孫たちとのあれこれをかいつまんでおもしろく見せてくれた。前編より後編のほうが勢いがあったように感…

お盆の娯楽

汁気過剰の糾弾バラエティー『反日どうでしょう』が横行する休暇シーズン。とりあえず5本のテレビ番組を視聴。2本はたいへんおもしろく、1本はかなりおもしろかった。 1.『キャンプX 実録・スパイ養成学校』(AXNミステリー)カナダ製ドキュメンタリー。二…

『玉音放送を作った男たち』

ドラマのおもしろさは、何を描くかと同じくらい、どう描くかで決まる。落ち着いた色調、品のいいBGM、扇情的ではない進行のテンポとも、歴史ドラマの鑑と言っていいような演出だった。台詞のレトリックは魅力的であり、台詞のない場面の演出も雄弁だった。脚…

『天皇の料理番』の登場人物と名優たち

「とりあえず夫sage妻ageしとけば基礎視聴率7%はチョロい」みたいなさもしいテレビ屋根性をにおわせることなく、どの登場人物も敬意をもって造形されていた。平成風の恋愛結婚だけが男女の幸福な結びつきでないってことを、達者に描いていたのだが……大河のP…

『天皇の料理番』終わる

(原作未読) 縮こまったところのない、気持ちの良いドラマだった。 まことに若く小さな国でフランス料理と出会った悪たれが才能を開花させ、二代に渡って天皇に仕え、八十を超えて引退する。見事な男の一代記だった。 主人公に秀でた才能がなく野心がなく攻…

下半期一番の期待作

『神谷』と『64』に匹敵するレベルを見せてくれるかも、と期待しているのが、現代ドラマと時代劇の中間みたいな時期を対象とした夏の特別ドラマ『経世済民の男』3部作(NHK総合)である。 一番楽しみなのが、ジェームス三木脚本、オダギリジョー主演の『高橋是…

今年の時代劇ドラマ

今後はもう『神谷玄次郎捕物控2』超えはないと思われるが、少々興味をそそられるのは…… 『ふたがしら』(WOWOW)NHK以外で――正確には朝ドラと大河以外のNHK以外で――唯一、質を追求できるチャンネルとして、時代劇にも挑戦してほしいけれど、新参者には無理か………

6月以降の現代ドラマ

今年はもう『64(ロクヨン)』超えはないと思われるが、少々興味をそそられるのは…… 『民王』(テレ朝)エンケン、もしかして『湯けむりスナイパー』以来の主演か? ゴールデンなんかより深夜枠のほうが質的にマシに決まっている。彼が総理大臣とは若干荷が…

5月29日BSプレミアム『風の果て』再放送スタート

藤沢周平原作。2007年は時代劇の当たり年だった。大河は『風林火山』でひさびさに質的に盛り返したし、木曜時代劇には『風の果て』があった。『蝉しぐれ』ほど格調高くなく、『神谷』ほどチャンバラはない。土木工事の計画立案から完了までの苦労とか、婿入…

『神谷玄次郎捕物控2』最終回『日照雨』

振り返ってみれば、パート2は悪い奴をふんじばってめでたしめでたしパターンが一つもなく、最終回もやりきれない事件だった。 「助けを呼ぶか?」「めんどくせ」は高橋光臣がかっこよかった。その後の「てめーらも獄門にかかりてえのか!」は山崎樹範がかっ…

『64(ロクヨン)』第5回『指』

D県 58万世帯 182万人 続いて公衆電話のアップ。 なぜ、人口だけでなく世帯数も出したのか、全話見終わってその重みがずしりと感じられる。そして公衆電話の意味も。 前回の台詞の「14年前の翔子ちゃん事件」を聞かせることで、視聴者にこれは14年間の物語な…

『神谷玄次郎捕物控2』第七回『小ぬか雨』

かっとなって毒婦を殺してしまった新七と、がさつな職人との結婚を控えたおすみの束の間の恋。こんな小ぬか雨が降る日には、惚れた男とすごしたひと時を思い出すのだから、おすみの人生も真っ暗ではないと語るお津世。薄闇に一つだけ火が灯っているような、…

『64(ロクヨン)』第4回『顔』

役者の柄や力量の問題もあって記者クラブの面々が他と比べて軽すぎるのが不満だったのだが、東洋新聞本社の記者として堀部圭亮が投入されたので、画面の重みといやらしさがぐっと増した。「サツにどんな教育してんだ」がまるで無自覚なヤクザだ。疑問点をま…

『神谷玄次郎捕物控2』第六回『鬼ごっこ』

今回は金田明夫がゲスト。飯富さん(金田)と馬場さん(高橋和也)が一緒に出てきて『風林火山』再来か!と期待したが、そんな場面はなかった。金田の控えめで渋い芝居を堪能した。 『神谷』パート2は第六回にして二度目の「悪党の密談を目撃した女が狙われ…

『神谷玄次郎捕物控2』第五回『神隠し』

小間物屋・伊沢屋の若い女房お品(宮本真希)が出かけたきり三日も帰ってこない。ところが番頭の庄七が銀蔵に相談した矢先、四日目にしてお品が帰ってくる。お品は家を空けた三日間の記憶が無いと言い、主人の新兵衛(渡辺いっけい)も、これは神隠しに違い…

『64(ロクヨン)』第3回『首』

この緻密に作られたドラマのカットを数えてみようとしたが、5分で挫折。シーンを数えることにしてみたところ、「あと3日」の字幕が出るまでの7分間で、回想される三上自宅、屋外、署内、雨宮宅が合計12、現在シーンが、広報室、屋外、署内廊下、階段で合計…

『64(ロクヨン)』第2回『声』

記者を前にしても、警務部にいても、刑事部に行っても、民間人のところへ行っても、家に帰っても、疎外感と板挟みのストレスをため込んでいく三上。第1回は視聴者が雨宮の地獄を追体験させられるような作りだったが、今回は主人公の四面楚歌&24時間サンドバ…