2015-01-01から1年間の記事一覧

どっちが大河?

『花燃ゆ』第17回『松陰、最期の言葉』録画視聴。実質上の上三半期の主人公が退場したというのに、この感慨のなさはなんぞ? 主人公(仮)の文は、兄の論理を理解できなかったのはしかたないにせよ、情においても濃いつながりがあったようにも見えないのが困っ…

『神谷玄次郎捕物控2』第四回『密告』

前二回とはまたちがった方向のどんよりエピソードだった。いつもと毛色がちがうと思ったら、脚本が中村勝行、演出が酒井信行。玄次郎が脳内で謎解きする時間が長く、江戸ものらしい風俗描写に費やす時間が短かったが、たまにならこういう趣向もいい。ただし…

『千年の愉楽』(監督:若松孝二)

TVでノーカット放送を視聴。R15+相当扱いだが、扇情的な描写は避けられている。 紀州が生んだ鬼才・中上健次の代表作『千年の愉楽』を、若松孝二が映画化。舞台となったのは、眼下に美しい尾鷲湾を見下ろし、背後には紀州の深い緑が連なり、斜面に建つ趣ある…

『リキッド~鬼の酒 奇跡の蔵~』(2)『理想の酒』

大赤字を抱えた老舗酒蔵の一人息子が、蔵を存続させるために一念発起!すがりついたのは、「鬼」と恐れられた伝説の老杜氏だった。さまざまな思いが交錯するなか、追い求めた究極の一滴「リキッド」が流れ出るとき、起死回生の逆転はなるのか?(公式HP) ド…

『花燃ゆ』第16回『最後の食卓』

聞いていて納得できた台詞は、「見苦しく動き回るな」と「お前の叫びごときで意見が揺らぐ兄ではない」の二つくらい。どちらも中高年男性が文をたしなめるものだ。内野謙太の町人髷は似合いすぎである。すこししか映らない幼児も含めて、子役選びに優れてい…

『64(ロクヨン)』第1回『窓』

原作未読。原作(横山秀夫)、脚本(大森寿美男)、演出(井上剛)が傑作NHK土曜ドラマ『クライマーズ・ハイ』と同じ時点で傑作を期待していた。脚本家は昨年、極私的現代ドラマNo.1の『55歳からのハローライフ』も書いている。音楽はかっこいいけど『ロング…

『神谷玄次郎捕物控2』第三回『消えた女』

前回は"静"だったから、今回は"動"と予測したが、贅沢にさらっと演出した流れ星追っかけシーンとか材木置き場の大立ち回りとか、たしかにダイナミックな場面もあれど、ひと言で静とか動とか分類できない作りだった。窃盗事件につきまとう不穏な空気、お津世…

『花燃ゆ』第15回『塾を守れ!』

冒頭20秒はまるで大河ドラマのように緊迫感があった。なぜ日米修好通商条約に尽力した岩瀬忠震を出さないのだろう? この人と井伊大老の決裂を描くだけで大きなダイナミズムが生まれるだろうに……大河とBSの歴史番組の質にここまで開きがあるのはちょっと歪だ…

『かぶき者 慶次』第一話『石田三成の子』と『神谷玄次郎捕物控2』第二回『昔の仲間』

せっかくの藤竜也主演なのに、制作、原案、脚本が恐怖の『天地人』トリオとな。一話で挫折を覚悟して録画視聴した。渡辺俊幸のOPがまるで若干骨太な大河のようで、地面すれすれまでハードルを下げておくこともなかったかな、と思わされ、またナレーションが…

『花燃ゆ』第14回『さらば青春』

とりあえず、桂役の東山氏が座る動作だけでも時代劇のムードを出していたので、まるまる45分無駄にした気にはならなかった。中の人が苦手なこともあいまって、いつもプルプルしている小田村を消去したくてたまらない。松陰たちをなだめるのが、もっと上の役…

『神谷玄次郎捕物控2』第一回『出合茶屋』

昨夜は、あまたの欲求不満の時代劇ファンにとって、ちょいとした祭りであった。 惜しまれながら完璧な幕切れを迎えた『神谷玄次郎』なので、はんぱな出来では「こんなことなら続編なしのほうがよかった」などと言われかねない……が、そんなことはなく、心弾む…

『花燃ゆ』第13回『コレラと爆弾』

2月にいったん脱落したのだが、松陰が死ぬ回まで4回くらいは見るために視聴再開。 ネットでさんざん悪評を目にしていたので、"聞きしに勝る"とまでは思わなかったが、お金と手間がかかっていそうなセットにふさわしい物語が展開しないので、大道具さんがつく…

『デート~恋とはどんなものかしら~』最終話

ダビングしてもいいかも、と思えるドラマを1クール楽しませてもらった。最終話は、桜を見る二人と、目利きの間では比較的評判が悪いチビ巧とチビ依子の出会いの場面に、滋味のある寓話を感じた。 全話通して振り返ると、軽妙だった前半と比べ、最後2話は若干…

『デート~恋とはどんなものかしら~』第9話

小ネタ満載で、ここ数回では一番笑えた。リピートしないととても全部理解しきれない。リピートの余裕はなく、この回の感想だけは最終回の前に書いてしまいたいので、いつも以上にうろ覚えな感想をば……。 結婚式の主役は誰と誰なのか、何度も脳内で予測を修正…

『デート~恋とはどんなものかしら~』第6話~第8話

第6話:演出がお初の洞功二ということもあり、また依子の隠された優しさが一つ浮き彫りになったこともあり、若干エモーショナルな色合いが濃い回であった。古沢キャストというと表面的なテクニックのみが取り沙汰されがちだが、松重豊、長谷川博己とも内面か…

『天才探偵ミタライ~難解事件ファイル「傘を折る女」~』

ハムスターは見た!化粧が濃いおばちゃんの、最初から裏切るつもりの『走れメロス』案件が発端で、おばちゃん殺されるわ、めんどうな女がアパートに乗り込んできて自爆するわ……島田荘司の作風は日本的湿度を嫌うタイプかと思っていたのに、白いドレスの女の…

『デート~恋とはどんなものかしら~』第5話

おもしろいんだけど、前回に比べるとちょっと無難だよなぁ……と、おまぬけにもなめたような感想を持ちかけていたところ、終了寸前にまさかのメンバーが割り込みキス! いやー、参りました。転んでもただでは起きない『デート』だ。(転んでないけど) 冒頭は…

『ジャンクション39~男たち、恋に迷走中!~』と『笑う洋楽展』

およそもてそうもない男には、ミス日本の代表候補とつきあった過去があった。「ぼくには仕事の成功もルックスもない。だから自分を捨てられるんです。女性を前にいくらでも土下座できます」。この発言に衝撃を受けた演出家が、"エゴを捨てるってことが、人生…

『デート~恋とはどんなものかしら~』第4話

変化球の連続に唸り、終わってみるとまるで王道のヒューマンドラマを見たような後味のよさが残った。 時系列をあっちこっちさせる手法は初回からだが、今回は抜群に効果的。各登場人物の行動がどんな心遣いからきているか、どんな会話がきっかけとなったか………

『デート~恋とはどんなものかしら~』第3話

おもしろいのだが、普通の話っぽくなってきた気がする。ヤンキー娘が依子に抗議するところとか、巧の依子への態度とか。巧は前回まで古美門の又従兄みたいだったのが、もっと遠い親戚じゃないかっていうくらい可愛げが出てきた。しかし基本的にはキモくてイ…

『花燃ゆ』第5回『志の果て』

禁門の変まで視聴中断しようかと思っていたところ、チャンバラシーンがあるらしいと聞き、また井川遥の美貌が拝めそうだしということで、だらだらとまたも視聴した。 桂小五郎の剣術の腕にふれたドラマは珍しい……にしても、あまりにもあっけない立ち回りであ…

『風の峠~銀漢の賦~』第3回『友の死』

中盤の胆である、主人公の親友の死が描かれる回。 武士もかなわぬ覚悟を決めて一揆を起こした十蔵にくらべ、狭い了見で感情的になる源五がやや見苦しい。脚本の問題なのか、演者の力量の問題なのか……。それでも、刑場で娘を思って身もだえする親友の心を鎮め…

『デート~恋とはどんなものかしら~』第2話

*個人的連絡:Yさん、コメ返しは明日以降になります。 第1話で映像的にかなりおかしかったのが、法定速度でスクーターを走らせる迷惑な依子の後ろに車がぞろぞろという場面だった。今回はなし。主役の安全や道路封鎖の手間を考えれば、あんな滑稽な風景を一…

蛍光灯の連ドラ初回感想

『残念な夫。』ぬっくんの呑気なナレーションに乗った『奥さまは魔女』のような軽快な出だしはよかったが、途中から「やっぱり」と萎えてしまった。こういう話は深刻さよりユーモアを前面に出さないと幅広い層に受け入れられないと思う。過去のかたよったド…

『流星ワゴン』第1話

原作が重松清という時点で苦手なウェットムード全開を予感しながらも、西島秀俊&香川照之コンビが今までと違うかけ合いをするかどうかに惹かれてためしに視聴。予想通りBGMが過剰だった。 昨年不発だった『おやじの背中』をやり直したいのか、TBS? 「お前が…

『花燃ゆ』第3回『ついてない男』

大河の各種スタッフは他局にくらべてレベルが高いのだから、賞賛すべきところを賞賛すると……いろいろなセット作りに予算も労力も投入されていると感じた。小田村家――この家の夫婦の存在はまったく邪魔でしかないのだが――のこじんまりした家屋も、少年たちが…

『風の峠~銀漢の賦~』第1回『仇討ち』

めぼしい藤沢周平作品が軒並み映像化されてしまった現在、後釜の第一候補が葉室麟のようである。 源五の顔が過度にアップになったり、のっけから妙に生エロい絡みを見せたり椿の花びらが飛び散ったり、なんだこのなんちゃって唐十郎演出は? 角兵衛の扮装、…

『オリエント急行殺人事件』

クリスティ&三谷&ルメット版映画ファンとしては、二夜連続楽しい思いをさせてもらった。第一夜は原作をなぞるとのことだったので、こちらは言葉遊び探しをメインに鑑賞。*宮本武蔵は遅れてくるから、乗客「宮本」はたぶん遅れる*執事が読むのが『愛のと…

『花燃ゆ』第2回『波乱の恋文』

訪問者さま先日は、たくさんのスターをありがとうございました。時代劇の感想を書いていると、『平清盛』以来ひそかに拝読しているツイッターのアカウント様に引用していただくことが何度かありました。この年末年始の記事について久々に同じことがあり、望…

『鬼平犯科帳 密告』

数年前からわかっちゃいたことだが、お頭老けたなぁ(溜息)。江戸家猫八、蟹江敬三……と櫛の歯が欠けていくのも寂しい。あのスタッフ、キャストが揃ってこそのハイクオリティなので、吉右衛門以外の主演によるリメイクはとても考えられない。今年またこのシ…