2021-01-01から1年間の記事一覧

今年の連続ドラマ

『俺の家の話』 最終回を見た今となっては、初回から見直したら重みと湿度を感じそうだ。長瀬智也の引退作品がクドカンでよかった。 『ハコヅメ~たたかう! 交番女子~』 原作はある程度既読。家族につきあうのでなかったら絶対見ないタイプのドラマ。原作の…

今年の海外ドラマ

間違っても欧州で暮らしたいとは思わないが、ドラマはおもにイギリス以北の欧州ものを楽しんだ。 イギリス:『港町のシェフ探偵パール』はアメリカのコージー寄りミステリみたいになるのか?と危惧したが、大根はいないし、事件には苦味があるし、予想以上の…

今年の単発ドラマ

上半期は、東日本大震災がらみの傑作『星影のワルツ』と『ペペロンチーノ』。喪失感と希望と人生の滋味が描かれて忘れがたい。 下半期は圧倒的に『忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段』。源孝志にはずれなし! 役者の業と妬みと欲望。歌舞伎にはくわしくな…

アクション、アドベンチャー映画三昧

邦画より洋画、それもアクション多めの映画を多く見た年だった。 〆は「いとこたちの戦争」にフィクショナルな陰謀組織をからめた快作『キングスマン ファースト・エージェント』。ローテクなアクションに心躍り、ラスプーチンのコサックダンスに笑い、めそ…

金曜日はドラマの日

『和田家の男たち』 大石静脚本で大昔、『オトナの男』というドラマを楽しんだ記憶があり、今作も男中心だからという理由で録画スタート。ドラムを生かしたBGMと男三世代のかけ合いにグルーブ感がある。 三話まで見たかぎりでは、二話が一番笑えた。宮澤エマ…

週末の連ドラ

『今ここにある危機とぼくの好感度について』 演出はよい意味でNHKらしく、退屈させない。神崎が過去につきあった女の画像データを脳内でぱらぱら検索する絵作りが愉快。ほかによかったのは 神崎が国立大の広報になったと聞いて喜ぶ婚約者。「彼女が単純な女…

ラスボスは誰か?

『俺の家の話』は悲喜こもごもの傑作介護ドラマでホームドラマで中年男の人生やり直しドラマで……ほかにもいろいろな形容が当てはまる。 寿三郎の女癖の悪さはばれたけれど、なんやかんやで仲良し家族だよね! のノリだった第七話から一転、第八話ではほころ…

大森寿美男フルスロットル!

時代劇専門チャンネルで『鬼平犯科帳』、『仕掛人・藤枝梅安』の新作発表があった。 『梅安』の過去作は一回くらい見てそれきり。新作にも興味はなかった。 『鬼平』は中村吉右衛門にとどめを刺す。時代劇関係者もあらたな『鬼平』は作りづらかろうと思って…

『星影のワルツ』

大津波にのまれ、海を漂流していた男性が43時間後に救助された実話のドラマ化。 ささやかな日常がいかに幸せだったか噛みしめる場面も忘れがたいが、乾いた布団が流れてきたというエピソードにびっくり(じっさいには自分で乾かしてから使ったとか)。それで…

『ペペロンチーノ』

宮城発地域ドラマ。NHK民放を問わず、地域発ドラマって当たりが多い、とあらためて思わされる。中央発より資金面では不自由でも、アイデアは自由に出しやすいのだろうか? 東日本大震災からちょうど10年目に、イタリアンレストランのオーナーシェフ小野寺は…

『アメリカに負けなかった男~バカヤロー総理 吉田茂』

テレ東開局55周年特別企画。 麻生和子の原作『父 吉田茂』は未読。 吉田茂が主人公の映像作品としては、映画『小説吉田学校』(監督:森谷司郎)を超えるものがなかなか現れない。が、『アメリカ』は日本とアメリカの裏と表の交渉が描かれていて、わりとおも…

『すばらしき世界』(監督:西川美和

ネタバレあり。 「娑婆は辛抱の連続じゃけど、空は広か、ち言いますよ」 姐さんのこの台詞を聞けただけでも、この映画を見た甲斐あり。監督の取材力のたまものなのか、想像力のたまものなのか、自由を言い表すのにこんないい言葉があったか! と感動した。 *…

『ホワイト・クイーン』

薔薇戦争を描く歴史ドラマ。 ホワイト・クイーンとは、そう高い生まれでもないのにヨーク側のヘンリー四世に見染められて王妃となったエリザベス・ウッドヴィル。原案はフィリッパ・グレゴリーの『白薔薇の女王』、”The Red Queen”、”The Kingmaker’s Daught…

今季のドラマ

『青天を衝け』 大森美香脚本で唯一おもしろかったのが、朝井まかて原作の『眩~北斎の娘~』。その朝井の長編『恋歌』は血で血を洗う水戸藩の抗争を描いた辛口の傑作だった。万が一、今年の大河が『恋歌』も参考にするなら、すこしは噛み応えのあるドラマに…

『麒麟がくる』第四十一回『月にのぼる者』

同じ池端俊策作品でも、おおむね俯瞰的な視点で描かれた『太平記』にくらべると、なるべく光秀から見える世界を中心に描かれる『麒麟』はダイナミックな味わいという点ではやや物足りないところがある。庶民の視点とやらを強調したいのか、東庵と駒の出番が…