週末の連ドラ

『今ここにある危機とぼくの好感度について』

演出はよい意味でNHKらしく、退屈させない。神崎が過去につきあった女の画像データを脳内でぱらぱら検索する絵作りが愉快。ほかによかったのは

  • 神崎が国立大の広報になったと聞いて喜ぶ婚約者。「彼女が単純な女でよかったと心から思った」(うろ覚え)というナレーション。
  • お人好しで浮世離れした総長のキャラ。
  • アナウンサー時代の神崎の超ことなかれ世渡り術の描写、彼の番組卒業時のわざとらしい“お名残り惜しさ”の演出。
  • なぜかドラマにはびこる「教授」という現実にはない呼びかけがなくて、ちゃんと「先生」と呼んでいた。
  • ハライチが専門から服装からうさん臭い准教授であり“ザ・今どきの文化人”であり、目が離せない。

 

しかし木島をひたすら正義の被害者として描いていくつもりなのか? 彼女と学生新聞の部員の台詞がいかにもメディアや一部のSNSに載りそうな言葉の羅列で、ゲップが出そう。今どきのポスドクの実態を知る人からは、あまりに偏った造形に見えるのではないか。第一話は「世間はもっと複雑」みたいなナレで終わったが、どうも単純な反体制シュプレヒコールに向かいそうな懸念がある。

来週あたりで視聴打ち切りにするかも。

パワハラの告発の自由すらなさそうな音大を舞台にしたブラックユーモア・ドラマを見てみたいが、アイデアを出すクリエイターがいないのかしらん。

 

ドラゴン桜

演出の半沢直樹臭がはんぱないと思ったら、半沢担当Dだった。このくどさに最終話までつきあえるか自信がない。しかし、ひねくれた桜木建二が吐く台詞は、あいかわらず肚にズシンとくる真実味たっぷり。「大人は子供を傷つけないとでも思ったのか!」なんてのは、『今ここ』の正義感女の演説よりはるかに痛快である!

それにしても長澤まさみはよい女優になった。『コンフィデンスマンJP』よりこちらのシリアス風味のほうが合っているし、台詞もこなれていると感じる。