金曜日はドラマの日

『和田家の男たち』

大石静脚本で大昔、『オトナの男』というドラマを楽しんだ記憶があり、今作も男中心だからという理由で録画スタート。ドラムを生かしたBGMと男三世代のかけ合いにグルーブ感がある。

三話まで見たかぎりでは、二話が一番笑えた。宮澤エマがファムファタール風――じつは仕事熱心なだけだったのだが――で魅力たっぷり。宮澤つながりで、宮澤美保の今後も気になる。マスクをしていても、絶対に美人だとわかるお人だ。

じーさんが新聞社社長、親父がTV局のお偉いさんなんて、絶対に関わりたくないタイプだが、温和でおとなしいだけではすまなそうな和田優は気になる。

国土開発大臣役で高橋光臣登場。ちゃんばらやらせたら文句ない役者だが、現代劇でいまいち見せ場を作ってもらえない感がある。今回は、優と異母兄弟なのか? と思いきや、もっと深刻な対立関係になっていきそう……。

寛が息子や孫に対して「あんた」とか「この人」とか言う距離感がいい。最後までべたつかずに男三人の物語が完走するか否か?! しゃらくさい世相批判に走りすぎず、コメディ要素を維持しつづけてもらいたい。

 

『剣樹抄』

まあ、山本耕史の時代劇なら大丈夫だろうという期待とともに見始めた。泰姫が「大丈夫、大丈夫」と光圀の背中をさする場面で、これは『光圀伝』の脚色ドラマなのか? と思ったら、たしかに原作は冲方丁だが、れっきとした「剣樹抄」という小説があるもよう。

チャンバラと人情物語で8週間楽しませてくれそうだ。

近衛家のお姫様で、かぎりなくおっとりしていて芯が強い、という泰姫を演じるのは至難の業と思われるが、若手から松本穂香を抜擢したのは、たぶんベターな選択なのだろう。吽慶がお久しぶりの石坂浩二でびっくり。BSフジの『タイプライターズ』MCでよい仕事をしている加藤シゲアキが意外にも悪役で登板。死に物狂いで山本耕史にぶつかれば、道が開けるかもしれない。

一部の大河ファン待望の『光圀伝』大河ドラマ化は実現しないのだろうか。それとも『剣樹抄』が試金石?

 

初回で却下したのは『SUPER RICH』。金持ちにも政治家にも迫力がないのが和製ドラマの特徴だが今度はどうかと見てみたら……「あなたの五分より私の五分の方が価値が高い」みたいな台詞だけはおもしろかった。あとは無欲で貧乏な春野優礼賛にいきそうな感じが手垢まみれすぎ。江口のりこ主演なら、こんなメジャーな時間以外で、違う味付けができるスタッフと組んでもらいたい。

二回目で降りたのは『アバランチ』。初回、アバランチ・メンバーの仲間のかけあいとアクションだけはおもしろいと思ったが、二回目でアクション部分が減ってしまった。世界一安全な政権批判めいたネタはやるけども、ホントに怖い芸能事務所の社長とか、宗教団体の幹部とか、✕✕団体を悪役にする度胸のないテレビ局が正義の味方ヅラすんのは見苦しきかぎり。アクション担当のスタッフに光が当たらないのが気の毒だ。高橋メアリージュンのアクション女優としての活躍の場が広がりますように! 金城一紀と組めればよいな。

そう言えば、『日本沈没』も初回でリタイアだった。TBSは時々味わいのある傑作を作るのに、今回のはおもしろみがない。小栗旬はある程度以上のドラマにしか出ない印象だったが、今回は本人が一番がっかりしているかも。大河では報われますように。