『アメリカに負けなかった男~バカヤロー総理 吉田茂』

テレ東開局55周年特別企画。

麻生和子の原作『父 吉田茂』は未読。

吉田茂が主人公の映像作品としては、映画『小説吉田学校』(監督:森谷司郎)を超えるものがなかなか現れない。が、『アメリカ』は日本とアメリカの裏と表の交渉が描かれていて、わりとおもしろかった。テレ東のこの手の大作には、今後も期待したい。

住友紀人の音楽は壮大なムードを醸し出して、ドラマの印象のグレードアップに貢献している。

新木優子は、ドラマの原作者にして茂の令嬢にして麻生太賀吉の妻をのびのびと演じて魅力的だった。白洲次郎といえば、今のところ(芸能界復帰が可能かどうかおおいに疑問な)伊勢谷友介がベストの印象だが……生田斗真は意外と英語の台詞回しも悪くなく、白洲らしいい美学も体現できていて好印象。物まねに留まるかもしれないが、前野朋哉はまたどこかで田中角栄を演じてほしい。

笑福亭鶴瓶はにせ医者とか金貸しの役ならはまるけれど、吉田茂の貴族的な傲慢さはついぞ感じさせず。この人の「バカヤロー」は落ち目芸人の悪態のようにしか聞こえない。

GHQのキャストは一般的なアメリカ人にくらべてほっそりした男優ばかりで、いかにも日本人がキャスティングしたという感じ。