今年の海外ドラマ

間違っても欧州で暮らしたいとは思わないが、ドラマはおもにイギリス以北の欧州ものを楽しんだ。

イギリス:『港町のシェフ探偵パール』はアメリカのコージー寄りミステリみたいになるのか?と危惧したが、大根はいないし、事件には苦味があるし、予想以上のおもしろさ。『テンペスト 教授の犯罪分析ノート』は妄想シーンがユニーク。教授の心の傷のもとがなんなのか、まあ想像通りであった。ドンカーズ刑事の家庭問題を説明台詞ぬきで端的に示す演出がさすが。だからといって、恋心を寄せる男性刑事へのあのやり口は感心しない。

ドイツ:『ウーゼドム 罪深き母の捜査ファイル』の容赦ない展開に啞然。甘くない作風が好きな当方ですら、あそこまでやるかと思う。ドイツは合わないなぁ。

アイルランド:『息詰まる愛~夫はなぜ殺されたのか』と『侵入者~暴かれる夫婦の秘密』。後者はイギリスChannel 5のドラマだが、ロケ地がアイルランドで全体のムードもロンドン発のそれとは異なるので、自分の中ではアイルランド枠。どちらも陰鬱ですっきりした解決もなく、だが後味はドイツのドラマほどギスギス、ザラザラしていない。樹木が生い茂らない崖っぷちの風景は、日本の自然とは別種の美しさがあって心惹かれる(住みたいとは思わない)。

オーストラリア:この国のドラマを見たのはお初かも。『探偵ミス・フィッシャー~華麗なる事件簿』は馬車と自動車と蒸気機関車が混在する時代のムードたっぷり。おしゃれで大胆なヒロイン、タフな下町っ子の運転手コンビ、過去のあるメイドや少女たちのチームワークが楽しい。

アメリカ:今更だがミステリ・コメディ『名探偵モンク』シーズン1~3の再々放送をチェック。強迫性障害を患う元警官の名探偵ぶりに、ときにハラハラ、ときにイライラ、ときにジーンとさせられる。つまらない回が一度もないのがすごい。アシスタントは少々もったりしたナタリーより、おきゃんなシャローナのほうが断然好みだ。

 

来年の楽しみはなんといってもポワロのスピンオフ的作品というふれこみの『アガサ・クリスティー 名探偵ヤルセン』。12日にAXNミステリチャンネルで冒頭15分だけ紹介するそうな。