『BORDER』再放送スタート
6月1日夜9時から毎週金曜日、テレ朝チャンネル1にて。
評判を耳にして、ぜひ見たいと思っていたミステリ・ドラマ。昨年10月放送の単発『BORDER 贖罪』には惹きつけられた。本放送が4年も前だとは知らなかった。
銃弾が脳内に残ったために死者と会話を交わせるようになった刑事が主人公。ミステリドラマは山のように作られてきたので、オリジナリティを出すのは至難のはず。こんなアイデアを思いつくスタッフは偉い。
原作者の金城一紀はかならずしも好きな脚本家ではないが、今回では好みの部分だけ発揮してくれているとよいなぁ、と虫のいいことを期待する。『SP』も『CRISIS』も熱さとクールさがないまぜになった快作だったが、今回は熱さ控えめで、出だしのモノローグからしてクールでダークである。それにしてもタイトルを英語にしたがるのはなんか理由があるのかな?
とちゅうから川井憲次っぽい音楽が流れてるなぁと思ったら、やはり川井憲次だった。
ぴりっとした演出は、橋本一。
金城ドラマに登場するレギュラーの女性は、「自分の仕事をきっちりかたづける」、「よけいな感情をべたつかせない」の二つの特徴を備えている印象があるが、比嘉もその流れを汲んでいる。夜の公園での石川と軽くジャブを打ち合うような言葉のやり取りも、署内での石川に背を向けての持論の展開もかっこよい。時にすべてを見通すような、時に目の前のものを見ていないような波瑠の目が気になる。
石川に助けを求める死者たちは、血まみれで泣きじゃくりながら迫ってきたりせず、衣服を整えて冷静に語りかけてくる。このへんの演出は品がある。
ひところ犯人の生い立ちやら気持ちやらに焦点を当てる作りがもてはやされたものだが、決定的瞬間の被害者の実感を重視する演出に新鮮味を感じる。死者の無念を晴らし、成仏させてやる石川は、これから宗教家のようになっていくのだろうか。
死者は現実的な証拠を与えてくれるわけではないので、石川は犯人の自白を引き出すために危ない橋を渡る。二回目以降、情報屋に何をやらせるのか興味津々。情報屋が「俺は班長の直属」と称していたが、それがこれからトラブルの元になるのだろうか?
班長の老眼設定は何かの伏線? エンケンはあいかわらずいい味。小栗旬はまったく危なげなし。
これから三か月、毎週金曜日の楽しみができた。