『ジャンクション39~男たち、恋に迷走中!~』と『笑う洋楽展』
およそもてそうもない男には、ミス日本の代表候補とつきあった過去があった。「ぼくには仕事の成功もルックスもない。だから自分を捨てられるんです。女性を前にいくらでも土下座できます」。この発言に衝撃を受けた演出家が、"エゴを捨てるってことが、人生をおもしろく生きる術"だと訴えるドラマ作りを思い立ったらしい。
頭の中は17歳で止まったままの、もてない男三人組。ぎりぎり30代の彼らが怪しげな恋愛マスターに5000円払っていんちきくさい「もてる秘訣」を教わっては、合コンで玉砕したり希望をつないだり……。
かつてはもてたフリーライターと、かたすぎる会計士と、親のすねかじりのキッチンスタジオスタッフの軽妙な台詞のかけ合いと弱弱しいマウンティングごっこが笑える。こういうノリって、ほんとは民放ゴールデンができなきゃあかんのではないか? 今回は、スポンサー至上主義でないからこその、武田真治と野間口徹と村内淳平(ダイノジ)のトリオ主演である。
『サラリーマンNEO』のパロディーみたいなシーンがでてきたと思ったら、演出の吉田照幸は『あまちゃん』と『サラリーマンNEO』を手がけていた。NHKのサイトによれば、撮影開始は2月上旬。突貫工事でこんなものが作れるとは! 手間暇かけなくても、知恵があればおもしろいドラマが作れるということだ。
会計士の妹にしてぎりぎり20代女を演じるのが木南晴夏。クセモノ女優というほど濃くはないけれど、見るたびに心のどこかに引っかかる女優さんだ。
中村優子が、会計士があこがれる売れっ子書道家として登場。この人を拝めただけでも、見た甲斐があった。薄幸の女も業を抱えた女もはまるし、今回のような、なまなかな男では歯が立たない一流の女――『クヒオ大佐』のホステスと同じ系統の役柄――を演じると、なんかもう、たまらないものがあります。
建国記念の日にこんなくだらないドラマをやってるBSプレミアムが好きだ。
くだらないと言えば、土曜深夜の『笑う洋楽展』はその上を行く。
みうらじゅんと安齋肇が、貴重な洋楽ビデオを見ながら、「汗かきすぎ」とか「顔長すぎ」とか「こいつ、サングラス効果でかっこよく見える」とか、とにかく音楽性に関係ないことだけをだらだらとしゃべり合う。昨年春スタートした時は、せいぜい5回でネタ切れ、あるいは出演者の失言で強制終了を予期したのだが、あきれたことに今夜で36回目を迎えるとのこと。金のかかってなさそうなスタジオには、名画のパロディーみたいなのがかかっていて興味を惹かれるのだが、番組内でしっかり映さないうえに、やる気の見られない公式HPでは完全スルーである。これまた安齋氏出演でゆるい進行の『タモリ倶楽部』に通じる要素もあり、いつまでなんの生産性もない私好みの番組が続くのか、無責任に見守りたい。