『明治開化 新十郎探偵帖』第一回『仮装会殺人事件』

明治初期、人々の価値観が変わり奇妙な事件が多発する。洋行帰りの特命探偵・結城新十郎が謎に挑む。

 

脚本には期待できないので、開化期の風俗が楽しめれば御の字、と思って録画。NHKなんだからその気になればもっと撮影で魅せることができるのに! と惜しまれるところが多々あり。成金のパーティーなのだから”金に飽かせた”雰囲気が欲しいのにそうならないのは、まあ典型的な日本の映像表現である。

新十郎を取り巻く大人の面々が、勝海舟夫妻(高橋克典稲森いずみ)、速水大警視(勝村政信)、西郷隆盛鶴見辰吾)。役柄がいいだけでなく、役者の演技もしっかり主役をサポートしていた。稲盛いずみの三味線の弾き語りがなんとも小粋だ。来週以降は大久保利通篠井英介)も出るとなれば、ますます見逃せない。

 

今回は成金の妻、アツ子を演じた花總まりの演技とたたずまいと美貌が圧倒的に魅力的だった。ドラマのために描かれた肖像画も、「もっとしっかりアップでじっくり見せてくれ!」といいたくなる出来栄え。画面に登場した瞬間、日本人形のような端正な顔立ちに、柳原白蓮に通じるものを感じた。

花總女史は『おんな城主 直虎』で築山殿の母堂、佐名を演じていたのか! 今回は、滅びゆく種族の誇りと悲しさの表現がたまらなかった。

 

笠浦友愛Dの名に聞き覚えがないような気がしていたが……ユニークな佳作『三浦部長、本日付けで女性になります』を演出していたことをすっかり失念していた。