『三浦部長、本日付けで女性になります』

小粋で軽快で楽しかった。とくに、トランクルームでの鈴木慶一のBGMを使った演出が一番印象的。新田真三Dは初見……ではなく、緊張感があって好みの『七つの会議』やいまいちノレなかった『トクサツガガガ』を担当した人だったのか。今回はコメディセンス抜群と感じたので、今後コメディをやることがあったらまた拝見したい。
主人公の妻が「夫が女に変わるのは、DV受けるのと同じ」は考えさせる台詞。なにかと「マイノリティに寄り添え」みたいなのを主張すれば褒められやすい昨今、マジョリティ側の苦痛を描いたのは新鮮である。
給与計算ソフトで性別が「男→女」と変換されたとたん月給ガタ落ちなんてエグイ展開を描いたら、また違ったテイストになっただろう。

伊藤沙莉は巻き込まれ型の"ふつうの女子社員"がはまる。それでいてオタク女子もはまる。その持ち味でCMの仕事も来たようでめでたい。
ムロツヨシのふざけたようなまじめなような個性が役に合っていたが、大真面目にLGBTについて考えたい人には軽すぎたかもしれない。