『監獄のお姫さま』第2話

今年の民放視聴は『CRISIS』オンリーになりそうだったところ、クドカンのドラマが始まったので楽しみに見始めた。森下愛子が主要キャスト入りとは、やはり脚本家が局から信任を受けているゆえか。しかるべき理由があって「民放には出ない」と宣言していた伊勢谷友介が出演すると聞いたときは少々驚いた。本人の意識の変化だけでなく、民放側がアイドル人気とか謙虚なポーズとかと無縁な人を大役に採用した、というのも意外。

やたらと時空を行ったり来たりする手法は『木更津キャッツアイ』を彷彿させる。極私的には『うぬぼれ刑事』のような底抜けにバカバカしくて愉快なコメディを期待したのだが、さほど弾けた作りではないし、第2話は半分くらいシリアスなお話だった。馬場カヨの心のもやもやは、ずいぶんと良心的に丁寧に描いていた。またそれに応じる板橋の上から目線というか若干無神経な口のきき方が、中の人そのものな感じで、見ているほうは思わずニヤニヤ。伊勢谷氏はそれを自覚して演じているのかな? 彼の映画向きの華がテレビ画面になじまないという目利きの見解を読んだ。最終回までに彼がどこまでドラマの枠からはみ出してくれるか興味津津。

満島ひかりは高水準の作品によく出るわりに特に好きにはなれなかった女優だが、今作では若井先生を颯爽と、ときにサディスティックに演じていて魅了される。猫背椿もせっかくのクドカン作品なので、きっと大きなことをやってくれるだろう。池田成志にあれっぽっちの役をやらせるとは贅沢というか少々もったいないというか……。

来週はいよいよお姫さまが登場するもよう。ということは、視聴者がこぞって板橋に蹴りを入れたくなるようなクズっぷりも明かされるのだろうか。