『私の嫌いな探偵』最終話

メタ・バカミスと呼ぶべきか、バカ・メタミステリと呼ぶべきか、金曜深夜にダラダラ見るのにうってつけのドラマが終わった。妙なメッセージをこめたり、視聴率狙いでお涙ちょうだいをねじ込んだりといった無粋な宗旨替えがなくてなにより。最近のこの枠の放送回数は7~9回なので、8話完結なのは当初の予定通りと思われる。

福田雄一の脱力ネタ、小ネタ満載の脚本は好き嫌いが分かれるところだし、ネタを全部理解できた人はほとんどいないかもしれない。『33分探偵』のように45分ドラマにしていたら、「部分的にくどい」という苦情は出なかっただろうが、それではこの作品特有のだらだらした雰囲気が出なかったはずだ。脚本ではしきりと朱美を鳥呼ばわりしていたが、鵜飼の頭のほうがよっぽどなんかのトサカっぽいと思ったのは私だけらしい。

音楽担当のMAYUKOだか得田真裕だか作曲の、能天気で景気のいいトランペットのナンバーが耳に残る。
ドラマのテイストにぴったりな五月女ケイ子のだるいイラストは、もっと見たかった。
犬の置物にかけた名札の意味は明かされずじまい。あの手の遊びは、ほかにも探せばありそうだ。

剛力嬢は『八重の桜』、『クロコーチ』、本作とけっこうたてつづけに見ている。これといって癇に障る癖もなく、悪印象はない。もうすこしボーイッシュだがコケットリーもある、というタイプを予想していたらそうでもなかった。昨今売り出そうという女優には、色気は禁物なのだろうか。
「あけみ~ん!」と寄ってくる渡辺いっけいが愉快で、彼の出番の少なさが惜しまれる。ほぼ正体不明で終わった片桐仁のホームレスがいろいろと都合のいい情報屋で、"くさや"みたいな、あんまり近寄りたくないけどものすごく気になる存在だった。白石隼也仮面ライダー出身だそうだが、そんなことを微塵も感じさせないおバカな探偵の弟子(おバカは両方にかかる)っぷりが笑わせた。六話で「ステファニー!」と絶叫しながら犬探しをする演技が最高。
捜査する側にこんなにも賢そうな人材が欠落したドラマも珍しい。

鵜飼は終始「金に汚い」ところがよかった。ゲスな町人役が扮装からして似合っていたので、あの路線を深夜ドラマのゲストかなにかで拝みたいものだ。玉木宏の演技自体は『ギルティ』のように何度も録画リピートしたくなるようなものではなかったが、作品自体について言えば、とりあえず映画もふくめて不快感のないコメディはじつに『ウォーターボーイズ』以来か。オファーの少ないシリアス重厚路線だと表現技法に深みもバリエーションもあるのに、やたらめったらやらされるコミカルなキャラはマンネリ気味で、次の連ドラ出演時は見る気になるかどうかいささか心もとない。
じつは最終話ゲストの井上和香は嫌いでない。時代劇の婀娜っぽい姐さんも現代の知的弁護士もこなせる人なので、BSのお子ちゃまお断りドラマで共演してくれないかな。