『軍師官兵衛』第2回『忘れえぬ初恋』

平清盛』はドラマ内容はともかく、OPは見るたび聞くたびにわくわくしたのに、どうも昨年からOPを主演のPVもどきにしていて違和感がある。音楽もメリハリに欠ける。今年の主役は、ブッキーや松ケンに比べれば時代劇適性はあるし、たしかに見栄えのする人だが、本編中のPV風なアップの多用はいただけない。

ロケ地の紹介があまりにたくさん出てきて驚いた。アクションシーンを取ったら何も残らない大河になりそうなのに、序盤からこんなに飛ばして予算は大丈夫か? PとDが『風林火山』の人なので、広々した野外での合戦シーンは眼福。ただ、動きがダイナミックなのに比べ、色調をずいぶんソフトに加工してある印象だ。

高岡早紀が出てきて、家来を誘惑するのかと思ったら、お利口さんなことだけ言って終わりで拍子抜けした。大森寿美男脚本作品にしてはあまりおもしろくなかった『テンペスト』でも、この人の「ザ・女優」ぶりはほんとに見ものだったのに、今回は無難な扱いで終わるのか。

今のところ「戦はいやじゃ」が出てこないので、安心している大河ファンもいるようだが、人が悪い私なぞはすでに不信感でいっぱいである。2週続けて終わりのシーンでナレーターに「誰もが戦乱が終わる世を待ち望んでいた」と言わせてるではないか! 「誰もが」ってのが決めつけすぎだし、あの時代に生きていた人間に「戦がない世」なんて想像できたかどうかおおいに疑問だ。第一次キャスト発表で、唯一信頼できると思ったのが、ナレーション担当の藤村志保なのだが、おどろおどろしい口調が不評だとかで残念。来年以降、語りはアナウンサーが担当する形に戻した方がいいのではないか。

濱田岳が出てくるだけで笑える。『永遠の0』で岡田君といいコンビだったから、大河でもいい呼吸でやってくれるかな。「先鋒をつとめよ!」と命じられたら、「殿、お先にどうぞ」とやってほしい。

それにしても、「人質」連発とか先輩のわかりやすい意地悪とか、なんだかとっても薄味で親切な脚本である。ものすごく不快なところもないかわり、含蓄のある台詞とか、歯ごたえのある台詞とか、期待できそうもない。信長が出てくるたびに「こんなシーン要らない」と思わせるドラマは初めてだ。あんなとこで弟殺しを思い出すのも、唐突すぎ。ほかにも考えるべきことはあるだろうに。そういや、タイトルの「初恋」に触れずじまいだな、ハハハ……(脱力)。