『リーガルハイ』Vol.9~10
Vol.9については一つだけ。民意を理由に貴和を追い詰める暴れん坊将軍に対抗すべく、裁判官に訴える古美門の台詞がもろ好み。「判決を下すのは、断じて国民アンケートなんかじゃない。我が国の碩学であられるたった五人のあなた方です。どうか、司法の頂点に立つ者の矜持をもってご決断いただきたい」。論理より気分、冷静なプロの判断よりイノセントな素人の言いたい放題を良しとするのがお約束の日本にいながら、あえてこんな台詞を書く古沢自身がドラマ界の古美門なのか。なんで大河で同種の格調ある台詞を聞かせてもらえないのだろう、などとも思ってしまった。
最終回。コメディで締めるはずだけど、またハムスター出してくるわけにいかないし、どんな隠し玉があるのかとわくわくしながら待機。結局、それにあたるものは羽生の古美門ラブ? 羽生が好きなのは黛より古美門というのも、貴和には子供がいるというのも、二話か三話あたりで見当がついたので、驚愕の真実を味わう楽しみにはありつけず。ただ、「吉永慶子」の正体には驚かされた。幸福感という、人間の内面の問題まで押しつけようとするwin-win教は気持ち悪くてしょうがないので、ぶっ潰されて清々。古美門の演説が小気味いいのは通常運転だが、羽生に欠落した点を喝破する瞬間には最終回にふさわしいカタルシスがあった。三木と沢地と、ついでに井出クンが出てくると安心するなぁ。さおりちゃんの使い方もよかったし。古美門は、念願の高速回転三所攻めにありつけず、ざんね~ん! なぜか負けた羽生より古美門のほうが残念感を漂わせて終わるのも、このドラマらしい。