連続ドラマ

『吉原裏同心』第4回

ゲスト女優と会所の男衆の魅力が光る回だった。 番方たちが心中未遂をやらかした男を引っ立て、仙右衛門を先頭に会頭の前に控える様子がなんともいい。甘いもので懐柔される怠慢な奉行もなんともユーモラス。帰る奉行と「ご苦労様です!」と挨拶する番方たち…

『55歳からのハローライフ』第5回

――死ぬよりおっかないことは 俺が俺じゃなくなっちまうことだ ――誰が逃げるもんか、逃げてたまるかぁ! のっけから目にしみる美しい緑で、こりゃー対照的に悲惨な現実が出てくるんだろうなと身構えた。 因藤はハローワークに6年も通っている。腰痛持ちは事実…

『吉原裏同心』第3回

おもしろいなー、『汀女と吉原の仲間たち』は!先週は、最後に手を合わせる奥菜恵の美しさ、いじらしさに胸打たれたが、今週は野々すみ花に持っていかれた。一流の交渉人の側面を見せる悪奉行とのやり取り、悲しみと怒りをこめて「悪人にはきっと天罰が当た…

『55歳からのハローライフ』第4回

このドラマの個性を作る大きな要素の一つが清水靖晃の音楽で、かならずしも登場人物によりそった感動をあおるタイプのものではなく、要所要所で異化効果をもたらしている。過去3回は、主人公より識見豊かなアドバイザーが客観的な意見を語ることで、これまた…

『吉原裏同心』第1回

ヨシワラとかウラとかドウシンとか、いやでも興味をかき立てられるタイトルなのだが、いざ始まってみると、いろいろちょっとずつ(場面によっては大々的に)足りないドラマであった。松竹の協力があるBSとの差なのだろうか。佐野元彦統括による時代劇は、出…

『55歳からのハローライフ』第1回~第2回

見送るつもりだったのだが、主体性がないこととてツイッターで目利きが褒めているのにつられて、あわてて第1回を再放送の録画で視聴。気に入って第2回から本放送を録画。 5分ほど見たところで、賞を取りそうだなと思った。テーマやスタッフワークの質の良さ…

『おやじの背中』

『MOZU』パート1が終わったら、しばらく民放からおさらばするつもり……だったが、おもしろそうなドラマ情報が入ってきた。http://www.tbs.co.jp/oyajinosenaka/ 10組の父と子のドラマを1話完結で放送とな。その昔、『東芝日曜劇場』が1話完結で、良質なドラ…

『ロング・グッドバイ』最終回『早過ぎる』

主演 堀切園健太郎のドラマが終わった。後半は不快感しかなかった『負けて、勝つ』にくらべればはるかに楽しめたものの、最後の5分にねじ込んできた原子力批判、五輪批判がNHKらしくじつに小賢しい。ハードボイルド色が強めだった初回のあとは、猟奇趣味もや…

『神谷玄次郎捕物控』最終回『霧の果て』

今年にはいってから、髷物ベストワンの座はずぅっと正月時代劇『鬼平外伝 老盗流転』が占めているが、『神谷』はそれに迫る出来であった。 番組開始前、一番の不安材料はあまりおもしろくない映画しか見たことがない本木克英が演出担当ということだったが、…

『ロング・グッドバイ』第2回『女が階段を上る時』

今回は、ハードボイルドというよりまがまがしい雰囲気が濃厚だった。缶詰をほおばる安藤玉枝のどぎつい唇、若いスター女優のエログロ風遺作映画、闇医者と頭がおかしい息子が暮らす荒れた屋敷の三シーンが印象に残る。財前六郎とその父財前五郎(だよな?)の…

『ロング・グッドバイ』第1回『色男死す』

魔界・上海かと思わせる紫煙たなびくキャバレーの場面から、(『MOZU』をのぞくと)民放ではまずお目にかかれない映像美にひたった。この作品世界にもっとも寄与しているのが撮影、照明班なのに、公式HPでちゃんと紹介しないのは失礼だ。すでに『白洲次郎』…

『極悪がんぼ』第1回

『アウトレイジ』を水で薄めたスピンオフみたい、フジ的な耐えがたさもないけれど、毎週見るほどのもんじゃないな~、今回はオダジョー出ないのか……電源オフにしようかなっと思ったところへ悪徳刑事、伊集院保登場! ちょろっと広島弁しゃべっただけだが、ゲ…

『神谷玄次郎捕物控』第二回『針の光』

切れ者の同心が、虐げられた者の復讐じみた犯罪を参考に、欲得ずくの犯罪をあばく話。奥まった部屋の場面が多かった前回に比べると、野外や店先の場面が多く、開放的な印象が強い。今回はドーランが気にならなかった。 しょっぱなから男の毛脛を映すのはなん…

『神谷玄次郎捕物控』第一回『誘拐』

清く正しいお話より大人向けの人情話を好む人には、安心してお勧めできる時代劇。『雲霧』リメイクより気に入った。NHK時代劇班と松竹がタッグを組むと、時専チャンネル・松竹コンビの次によい仕事をする。藤沢原作のNHKドラマとしては、知るかぎりでは本作…

働きすぎる俳優の謎

なんとオダギリジョーは今季三つものドラマに出るのだとか。映画命(いのち)でやってきた男に何があったのか?? まさか銀行口座の残高が気になってきたとか? この人の場合、金銭や露出増のためだけの仕事を選ぶとも思えないのだが。当地での『リバースエ…

『私の嫌いな探偵』最終話

メタ・バカミスと呼ぶべきか、バカ・メタミステリと呼ぶべきか、金曜深夜にダラダラ見るのにうってつけのドラマが終わった。妙なメッセージをこめたり、視聴率狙いでお涙ちょうだいをねじ込んだりといった無粋な宗旨替えがなくてなにより。最近のこの枠の放…

『S―最後の警官―』#9

オダジョー出る出る詐欺ドラマを惰性で録画再生(半分は1.3倍速再生)してきてはやふた月。やっと正木が再登場した。一見細身ながらいちごと素手で戦って勝てる能力以上に、霧山配下とはいえ、悪巧みの作戦指揮をとれる能力が不気味に感じられる。ところで、…

気になる4月スタートドラマ

『MOZU』(TBS)10日21時昨秋からこれだけは必ず見ると決めている。初回のみ2時間放送とな! すでに撮影は終わっているとのことで、視聴率に左右されてぬるく改悪される心配がない。 『ロング・グッドバイ』(NHK)19日21時渡辺あやにハードボイルドが書けるのか…

『私の嫌いな探偵』第五話

『私の嫌いな探偵』第五話*愉快だった点「せ~いか~い!」が出てきて、『クロコーチ』ファンとしては単純に喜んじまった。待望の五月女ケイ子のイラスト復活! ただ、初回の猫まっしぐらほどのインパクトはなかった。 *今回にかぎらず疑問に思うこと船越…

『S―最後の警官―』#4

これはアクションドラマなのか、コメディーなのか? いちごは(滑る)ピン芸人なのか? ただの残念な熱血クンなのか? 先週よりは悪役の出番が多くておもしろかった。善玉との一騎打ち的にするために、都合よく一定時間手下がいなくなるのは不自然。オダジョ…

『私の嫌いな探偵』第三話

*今回のベストシーン朱美のアッパーカットくらって昏倒してる鵜飼を眺めていた砂川たちが「死後、二時間半たってます」と言われ「あ、こっちか」とほんとに死んでる人間のほうに振り向くくだり。 受験シーズンのまっさいちゅうに、いかがわしい神社にすがる…

『S―最後の警官―』#3

DAKARAちゃんのCMが可愛かった。・・・警察ドラマを見てすぐ出てきた感想がこれってどうなの? 大河と同じくアクション以外見どころがないと聞いていたので、退屈なシーンが始まると1.3倍速再生にするのだが、すぐ重装備の男たちのシーンに変わってしまう。…

『足尾から来た女』後編

NHKのことだから、サチの兄や銅山の社長に土下座させるようなとんでも展開の可能性がなくはないし、正造がサチの兄を杖で打った時には、「げげ、権力側の人間には村人総出でリンチが正解みたいにしちゃうんか?」と疑ったものだが……いろいろと杞憂に終わって…

『足尾から来た女』前編

見る前は、期待三割、不安七割。前編終了後現在は予想外の満足感あり。 田舎の無学な娘にスパイをやらせるという設定にいささか無理を感じた。読み書きができるかどうかと、観察眼や口頭による報告能力の有無とはかならずしも比例しないけれど。今日になって…

『私の嫌いな探偵』第一話

そこそこ笑えるコメディ仕立てのメタ・ミステリ。五月女ケイ子による"ナイフを装備した猫"のイラストに大ウケ! 原作は1、2、8巻を図書館で借りた。謎解き自体は意外と本格的だが、それ以外の部分にはさほど熱中できず。脚本=福田雄一なんだからもっとヘン…

いまさら『あまちゃん』を振り返ろうとして

どれだけ思い出せるか心もとないが、『今年、印象に残ったNHK番組』に入れなかったので、無理やり記事にしてみる。 『カーネーション』終了後一年で、人生二度目の朝ドラ視聴開始。ドラマ書くなら夜10時か11時のイメージしかないクドカンが、下ネタに走らず…

今年のBS

BS1とBSプレミアムの番組については、24日の記事でふれたので、それ以外について。 BSフジ『お伊勢さん』三重テレビ、渾身の伊勢神宮式年遷宮特別企画 。出雲大社だけでなく、近隣地区の自然、歴史、風俗、雅楽部養成のようすなど、幅広く網羅した情報番組。…

今年、印象に残ったNHK番組

まずは繰り言。『夫婦善哉』と『あさきゆめみし』の脚本家を逆にしてくれたら、前者をもっと楽しめて、後者は心置きなくスルーできたのに!『夫婦善哉』パンチのきいたBGMと潤沢な予算を感じさせるセットと衣装とエキストラから、大阪の人いきれが伝わってく…

今年見た民放ドラマ

昨年の『ゴーイングマイホーム』に匹敵する作家性に富んだ名作はなかった。お気に入りもリピートするほどではなかった。そして、自分が心惹かれるドラマはたいてい低視聴率の法則を再確認した。 『空飛ぶ広報室』ブルーインパルスの美技だけを目的に見たのだ…

『リーガルハイ』Vol.9~10

Vol.9については一つだけ。民意を理由に貴和を追い詰める暴れん坊将軍に対抗すべく、裁判官に訴える古美門の台詞がもろ好み。「判決を下すのは、断じて国民アンケートなんかじゃない。我が国の碩学であられるたった五人のあなた方です。どうか、司法の頂点に…