単発ドラマ

『玉音放送を作った男たち』

ドラマのおもしろさは、何を描くかと同じくらい、どう描くかで決まる。落ち着いた色調、品のいいBGM、扇情的ではない進行のテンポとも、歴史ドラマの鑑と言っていいような演出だった。台詞のレトリックは魅力的であり、台詞のない場面の演出も雄弁だった。脚…

下半期一番の期待作

『神谷』と『64』に匹敵するレベルを見せてくれるかも、と期待しているのが、現代ドラマと時代劇の中間みたいな時期を対象とした夏の特別ドラマ『経世済民の男』3部作(NHK総合)である。 一番楽しみなのが、ジェームス三木脚本、オダギリジョー主演の『高橋是…

6月以降の現代ドラマ

今年はもう『64(ロクヨン)』超えはないと思われるが、少々興味をそそられるのは…… 『民王』(テレ朝)エンケン、もしかして『湯けむりスナイパー』以来の主演か? ゴールデンなんかより深夜枠のほうが質的にマシに決まっている。彼が総理大臣とは若干荷が…

『天才探偵ミタライ~難解事件ファイル「傘を折る女」~』

ハムスターは見た!化粧が濃いおばちゃんの、最初から裏切るつもりの『走れメロス』案件が発端で、おばちゃん殺されるわ、めんどうな女がアパートに乗り込んできて自爆するわ……島田荘司の作風は日本的湿度を嫌うタイプかと思っていたのに、白いドレスの女の…

『ジャンクション39~男たち、恋に迷走中!~』と『笑う洋楽展』

およそもてそうもない男には、ミス日本の代表候補とつきあった過去があった。「ぼくには仕事の成功もルックスもない。だから自分を捨てられるんです。女性を前にいくらでも土下座できます」。この発言に衝撃を受けた演出家が、"エゴを捨てるってことが、人生…

『オリエント急行殺人事件』

クリスティ&三谷&ルメット版映画ファンとしては、二夜連続楽しい思いをさせてもらった。第一夜は原作をなぞるとのことだったので、こちらは言葉遊び探しをメインに鑑賞。*宮本武蔵は遅れてくるから、乗客「宮本」はたぶん遅れる*執事が読むのが『愛のと…

『鬼平犯科帳 密告』

数年前からわかっちゃいたことだが、お頭老けたなぁ(溜息)。江戸家猫八、蟹江敬三……と櫛の歯が欠けていくのも寂しい。あのスタッフ、キャストが揃ってこそのハイクオリティなので、吉右衛門以外の主演によるリメイクはとても考えられない。今年またこのシ…

今年の拾いもの

*ハードボイルド百花繚乱とはならず、『ロンググッドバイ』は演出家の好みが暴走した珍品、『MOZU』は後半脚本が迷走して惜しい作品となってしまった。それでも、前者は映像美が記憶に残るし、後者はスタッフ、キャストの思い入れが熱く伝わってくる意欲作…

『オリエント急行殺人事件』キャスト出そろう

4年前の三谷作品『わが家の歴史』(フジテレビ開局50周年特別企画)は、NHKやテレ朝では絶対に作れないタイプの傑作だった。今回は、三谷幸喜と野村萬斎がタッグを組んでクリスティー作品をリメイク。心躍る企画である。三谷作品は、舞台≧ドラマ>>>映画。…

『闇の狩人』

*時代劇専門チャンネルで、前編、後編、一挙リピート放送! 10月18日午後4時~ 11月3日午後8時~ 謎解きに関するネタバレはなし。 下半期のほぼ唯一と言っていい楽しみが終わってしまった。 放送時間が半分だったために、余分なものはかけらもなかった印象…

『春、バーニーズで』(2006年、WOWOW)

同名の原作(著・吉田修一)を、故市川準が脚色、監督。絶対にテレビ的ではないゆったりしたテンポや子供の撮り方が是枝裕和を思わせる。明確に違うかのがどこかはよくわからない。主人公の筒井はどちらかと言えばエリートサラリーマンの部類のようだが、登…

『撃墜』後編とフジのスペシャルドラマ

紫電改のスコープの仕組みを説明してほしかった。 前回予告を見た時の危惧は当たらず、後味が良い。日本の二次大戦ドラマはたいがい偉そうな反戦主義者が出てきて国体批判なぞを始めるものだが、主人公も妻もヘンな豹変によるキャラ崩壊とは無縁で、地道に真…

『実録・小野田少尉 遅すぎた帰還』(2005年)

リピート放送 ファミリー劇場で8月15日11:20-13:30 軍人の行動と中野学校での訓練の結びつきを描いた貴重なドラマ。終戦後、三人でゲリラ戦を行っていたこと、たびたび日本側から帰国の呼びかけがあったことは初めて知った。くどいBGMなどやたらと感情をあお…

これからの時代劇など

スカパーでは9月、時代劇専門チャンネルでは10月にオリジナル時代劇『闇の狩人』放送決定!! 堂々3時間の長編で、前後二回に分けるようだ。『鬼平』、『剣客』、『梅安』――池波正太郎の魅力ここに結集! と言われればいやでも期待が高まる。主演は『夜兎の…

『みをつくし料理帖』

時代劇マニアが褒めていたので、パート1の再放送を視聴。絵作りや世界観を云々したくなるBS時代劇にくらべると、BGM過剰でいろいろとチープだったが、民放の時代物の火をつなげようというスタッフの意思だけでも貴重であるし、全体にどちらかといえば良質な…

『鬼平外伝 老盗流転』

1月13日14:00 リピート放送あり 時代劇専門チャンネル、松竹合同制作による『鬼平外伝』シリーズ第四弾。一作目『夜兎の角右衛門』は未見。二作目『熊五郎の顔』は悪くないという出来。三作目『正月四日の客』は胸に沁みる佳作。今回の『老盗流転』は前作を…

今年のBS

BS1とBSプレミアムの番組については、24日の記事でふれたので、それ以外について。 BSフジ『お伊勢さん』三重テレビ、渾身の伊勢神宮式年遷宮特別企画 。出雲大社だけでなく、近隣地区の自然、歴史、風俗、雅楽部養成のようすなど、幅広く網羅した情報番組。…

今年、印象に残ったNHK番組

まずは繰り言。『夫婦善哉』と『あさきゆめみし』の脚本家を逆にしてくれたら、前者をもっと楽しめて、後者は心置きなくスルーできたのに!『夫婦善哉』パンチのきいたBGMと潤沢な予算を感じさせるセットと衣装とエキストラから、大阪の人いきれが伝わってく…

今年見た民放ドラマ

昨年の『ゴーイングマイホーム』に匹敵する作家性に富んだ名作はなかった。お気に入りもリピートするほどではなかった。そして、自分が心惹かれるドラマはたいてい低視聴率の法則を再確認した。 『空飛ぶ広報室』ブルーインパルスの美技だけを目的に見たのだ…

来年のドラマ

『MOZU』(TBS&WOWOW)4月~夏先週録画した『ダブルフェイス』再放送の前後に『MOZU』のPR映像がくっついていた!80年代の空気が再現されているかどうかはわからず、とりあえず歩くメインキャラ3人のアップのみ。脳内の原作倉木の容姿は、恰幅よくした真顔の筧…

『IMATの奇跡』

出だし三十分はみごとなくらい説明台詞のオンパレード。そのことにあまり違和感を覚えないのは、こちらも医療ドラマのフォーマットを刷り込まれているということか。まともに全部見た医者ドラマは『外科医・有森冴子』くらいなのだが。全体に医者ものと警察…