『コンフィデンスマンJP』第7話~第8話

今のところは、第7話が一番後味がよかったストーリー。
ボクちゃんは心置きなく与論要造を看取ることができたし、(欲しくないとか言ってたけど)金銭を手に入れたのだから、彼が一番の勝者だと感じた……が、目利きのみなさんの「家族ごっこができたし、一番大きなフェイクを成功させたのは要造だから、要造の勝ち」というご意見を目にして、そういいえばそうですね、と思い直した。
途中まではお手伝いさんがラスボスではないかと疑っていたが、まあラストから二番目のボスくらいか?
十億円相当の証券の存在を知るまでは、当方もボクちゃんレベルでダー子に騙されていた。

前回もまたカモが幸せになって終わる話だったから、第8話もそうかと予想したが、今回は又予想外の変化球だった。とりあえず、作り手が終始、視聴者にカードを正直に見せていたのが前回までとの決定的な違いだ。
長澤まさみ演じるダー子は美貌全開でランウェイで輝くが、それでも映画『モテキ』での小悪魔的完璧美女に比べるとどこか滑稽感を漂わせるところがすごい。
古沢ドラマというのはしばしば、盛り上がってきたところで突然、視聴者に視点の転換を促す。その瞬間に居合わせるたび、脚本鮮やかなり! と感嘆させられる。美濃部ミカの罵倒はたしかにひどかったが、「あなたは火傷を負った私の母とは違う、体重など努力すればなんとかなるでしょ!」という叱咤激励の気持ちがこもっているように感じられた。ミカはクリニックから退いたのち、形成外科医にでもなるのかと思いきや、ヨモギを使って女性たちの美への貢献を続けるのであった。

マスコミへのリークを解決策にするドラマは嫌いなのだが、今回の顛末はさすが古沢良太で、「煽られて盛っちゃいましたぁ、てへ」には、まー実際はそういうの多いだろうな! と大納得である。下品な真似をしたくないというプロ、リチャードの美学が、素人の浅ましさに負けたってのも、皮肉と言うか、このご時世を反映したほろ苦い小話であった。