『ダウントン・アビー6』第7回『悲しみの決断』

シーズン6は全10回だそうで、いよいよ7月9日で完全にお別れだ。予定通りシーズン3で止めておけばよかったのにと思ったこともあるが、延期したわりに怖れたほど脚本の質が落ちていない。プロットよりレトリックで魅せるのはあいかわらず。

観察眼、実行力とも若い者たちを上回っていたバイオレットが、ついに時流を読めなくなる。病院統合で揉めに揉めて頭を冷やすために南欧へ旅立つおばあさま。が、意外な置き土産で息子を心から喜ばせ、視聴者のあいだではまた株が上がった。このへんのジュリアン・フェローズの話のひねり方はさすが。

モールズリーがデイジーの勉強を見てやるあたりから
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モールズリーが学校の教師としてスカウトされる
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トーマスが辞めなくて済む

という展開を予想していたのだが、ネット上で見る限り、番組ファンのあいだではそのような意見もなく、また予告でとんでもない浴槽シーンが映って少々びっくり。結果的には、トーマスは残るのではないかといまだに思っているが……。

前々シーズンまででデイジーはずいぶん大人になったような描写があったのに、バンティングと出会ったあたりから、またぞろ人に悪影響を受けやすいところと視野の狭さを発揮しだして、視聴者をやきもきさせている。

最初は無責任で思慮の浅い活動家気質だったトムが、すっかり練れた苦労人になった。まだまだメアリーの説得をあきらめない模様だ。クールで誇り高く(イーディス以外には)貴族使用人を問わず身内思いで、でも時々問題をこじらせてしまうメアリーの造形がおもしろい。
奥さんのいる人ばかり好きになっていたイーディスがどうやら逆転ホームランを打つようで、まぁよかったよかったという気分。編集長になることで、仕事のしんどさとやりがいを知る場面はお約束だが感動的だった。

伯爵は、シーズン1の初回でタイタニック号の三等客室の人々に同情する件以来、慈悲深いお殿様としてのキャラは崩れていない。コーラは悪気はまったくないものの時おり無神経さや独善性を発揮する。イギリス人脚本家のアメリカ人観がうかがえる。

話が始まってから10年ほど経過して、女性のスカート丈はどんどん短くなり、文明の利器は増え、階級の垣根も低くなった。老けメイクは不要というのは、スタッフの総意なのか?
B&Bはもっと昔からある形態の宿かと思ったら、20年代が走りだったとは!
リンドバーグの偉業が最終回に間に合うのかどうかにも興味津津。