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『みをつくし料理帖』

時代劇マニアが褒めていたので、パート1の再放送を視聴。絵作りや世界観を云々したくなるBS時代劇にくらべると、BGM過剰でいろいろとチープだったが、民放の時代物の火をつなげようというスタッフの意思だけでも貴重であるし、全体にどちらかといえば良質な印象を受けた。

で、8日はその続編。
大部の原作をうんと工夫して二時間に仕上げたと推察する。難をいえば、澪にとっての一難去ってまた一難が、ぎゅうぎゅうづめな印象。ほっと息をつける場面にもうすこし尺を割いてほしかった。前作同様、女性陣があとさき考えずに敵陣に突撃するのがいただけない。そうしないと話が転がらないからってのはわかるんだが……。
献立の剽窃事件、よその店の不始末のとばっちり、女性差別の三つが今回の困難か。恩人の大病も入れれば四つ。せわしない気もしたが、二時間ドラマにこの数の山場(谷間?)は適切な配分かもしれない。女性差別の根拠に「血の障り」があるという説明があったのはよかったと思う。
時代劇は、現代劇とくらべると善玉悪玉わかりやすく分けても「リアリティがない!」というクレームを受けにくい。片岡鶴太郎演じる戯作者が、単純な親切なおじさんでも只の辛口評論家でもないところに味があった。
菊乃もぎりぎりまで、あさひ太夫の敵か味方か曖昧な描写だったのが粋。
瀕死のおりょうに、太一が「かあちゃん!」と呼びかけたりするかと思ったら、そんな安易な泣かせには行かなかった。

時代劇初心者にやさしく!を心がけた脚本だと思うのだが、本田博太郎が「よもや亡八のこの私が、たかが料理にここまで心揺すぶられるとは」と言い出して少々びっくり。テロップで「亡八」の説明しなくていいのか?

低カロリーで色彩の淡い食材をたくさん拝めて眼福であった。主役の三つ葉、蕗、鱧。添え物でも大切な筍、カボスなど。
中秋の名月をめでたり、白狐の行事があったり、日本的な風習の絡め方も時代劇ならでは。
ナレーターを吹越満にしたのは、なにげにナイスキャスティングだ。滑舌のよさだけでなく、重くない声質がドラマに合っている。
前回に引き続き、大杉漣原田美枝子室井滋らが脇をかためる。線の細い知恵者に高橋一生がはまりすぎ。ちょっと見いい人だけど、じつはわけありな役といったら、昨今では光石研高橋和也がやる決まりなのか。
貫地谷しほりは何やっても達者な女優だが、正直これほど花魁がはまるとは思わなかった。とくにパート1では、たいそう別嬪に撮ってもらっていた。当方、娼婦と堅気のインテリを両方完璧にやれる人を一流の女優認定するタチなので、彼女にはぜひ知的職業婦人もやっていただきたい(のだが、日本の映像世界ではその演出が一番下手なんだな~)。黒川智花も貫地谷系の演技派か。
TOKIO長瀬智也松岡昌宏は、アイドル的な媚びのない演技をする自由を与えられていていいなぁ(羨望)。表情のバリエーションはもうちょいあってもいいような気がしないでもないが、所作も台詞回しもBS時代劇で再見したいレベル。
北川景子はパート1では、とにかく一生懸命やってるところに好感を持った。もっと顔の力が抜ければいいのになと思ったものだが、今回はだいぶこなれた印象である。天ぷらの具材を油に放つ時の箸使いにも、鱧のさばき方にも、修練の跡がうかがわれる。洋装の時より、薄化粧で着物を着ている時のほうが素材の良さが生きる。
あまり間を置かずに、パート3制作を希望。五年前、この人の夫役を演じた俳優が来週の主役か……。昨年の軟派パートは見るのがしんどかったので、すこしは硬派な演技に変わってますように、ナムナム。