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正月時代劇 『吉原裏同心~新春吉原の大火~』

近年の正月時代劇では、主演のうまさと作品のまとまり具合で『御鑓拝借~酔いどれ小籐次留書~』(2013年、竹中直人主演)が一番印象に残る。

今作は、行方不明の女たちを探索する過程がすっとばされ気味なのと、CGが発達したからこその焼け跡現場再現にしても、神守夫妻の片づけ風景もうすこしなんとかならなかったのかというのを除けば、『御鑓拝借』並みに楽しめた。
1時間半のうちに香瀬川太夫、市川、鈴音という3人の遊女のエピソードを描き、予想外に薄墨太夫の見せ場もあり、火災のときの遊女たちの避難場所も描き、と盛りだくさん。

小松彩夏は、洋装しか似合わないかと思っていたのに和装がはまるし、遊女の芝居も立派にこなしていた。
安達祐実の演技を見たのはじつに『元禄繚乱』以来。いつまでも童顔の人という印象しかなかったが、今回はその実力を堪能。映画『花宵道中』の好演も想像できた。連れ戻されて大門の敷居をまたぐ一瞬の芝居に、躊躇と将来への絶望感をにじませる。

野々すみ花はもう一々見事なのだが、そっと手であおいで匂い袋の香りをかぐ仕草が絶品。
貫地谷かほりはあいかわらず情感豊かな芝居で、おまけにずいぶん綺麗になった気がする。どの男優の相手役をつとめるときでもきっちり仕事するのが偉い。
会頭として怖さをちらつかせる近藤正臣
さらわれた女を救出しにくる山田純大の頼もしいこと! こいでくんの頼もしくないこと……。年上女房を「姉様」呼びするキャラは合っているのだが、それ以外の要素がなんともかんとも。着付けの先生はなんで彼の帯をあんなに腰高に締めてしまうのだろう??

もしも続編を作るなら、主演の方は高橋光臣レベルは無理でも、福士誠治レベルに近づけるよう鍛錬していただきたい。

山田純大は口跡よし、所作はいなせでほんとにいい役者。木曜時代劇は若手(&若手寄りの中堅)育成部門、若年視聴者開拓部門とするなら、BS金曜時代劇はできあがった大人の世界にして、山田主演のシリーズものをぜひぜひ!