『吉原裏同心』第3回

おもしろいなー、『汀女と吉原の仲間たち』は!
先週は、最後に手を合わせる奥菜恵の美しさ、いじらしさに胸打たれたが、今週は野々すみ花に持っていかれた。一流の交渉人の側面を見せる悪奉行とのやり取り、悲しみと怒りをこめて「悪人にはきっと天罰が当たりますよ」と先輩遊女の遺体に語りかける場面。品や知性だけでなく、世の中の裏側を知る女のにおいもうっすら感じさせるところがすごい。ゲストの富田靖子はもちろんよかった。売れっ子時代の回想シーンは、ソフトフォーカスにするとかして、もっと綺麗に撮ってあげればよいのに。
汀女は、ひかえめながらも賢く、存在感がある。それを体現できる貫地谷しほりは、ほんとうに得難い女優である。

身代わり佐吉のあっけらかんとした個性が、ドラマの風通しをよくする。
仙右衛門は、優等生の転校生みたいな幹次郎に、いろいろと吉原のことを教える役まわり。山内圭哉が、ある程度目先もきき、実のある男を好演。
大河の常連でもある近藤正臣。まさか、武士でなく町人でもここまでいい味を出せる俳優になるとは思わなかった。登場人物のなかで一番怖い(悪いという意味ではない)のはじつはこの人かもしれないと思わせる。

先週も今週も、あわれな境遇ながら、恩を受けた人間に対する仁義を忘れない遊女の姿が美しい。
吉原が舞台でも、作品によってはかむろが省略されてしまうこともあるのだが、薄墨太夫はいつでもちゃんとお供に連れている設定でよかった。
きくの飛び降り場面でも思ったが、カメラワークがぴりっとしないときがあって残念。回想シーンの撮り方といい、吉原ものを作るからには、もうすこし絵作りの工夫を望みたい。