『笑っていいとも!』最終回

努力、根性、涙と無縁でヲタク気質のタモリが好きだ。『いいとも』には長らくご無沙汰だったが、タモリにとって一つの最終回ならば、と昼の部は録画して今頃チェック、夜の部はリアルタイムで視聴。今さらながら、多くの芸人が育ち、巣立った番組であることを知る。長期レギュラーを務めた関根勤がかわらず若々しく嫌みのない明るさを保っていることに驚く。ゆるいどんちゃん騒ぎは、あの番組らしくそこそこおもしろかったが、レギュラー陣の長い長い感謝のコメントコーナーにはやや辟易した。ドラマもバラエティも、出演者の涙で視聴率を取りたがるのはフジの慣わしなのか? 女性陣がビービー泣いてあまり芸のないお話で終わるのに引き換え、数人の男性芸人がしっかり笑いを取って締めるのには感心。千原ジュニアにはいい印象を持っていなかったが、乾いたユーモアで終わらせたのには好感が持てる。爆笑の太田は、小説評論などでは鋭い面も見せるのに、バラエティの場での「保守系政治家を叩く意識の高い俺」アピールは鬱陶しいだけだ。タモリの粋なところは、あの手の正義をふりかざさないところなのに、わかってない奴……。
『いいとも』MCとしては、若手を叱りもせず、あまり褒めもせず、放牧状態でうまく育てたのが功績だったようだ。暑苦しい芸人が多いなか、やはり貴重な存在なのだ。『タモリ倶楽部』の安斎さんが遅刻した時も叱らないのだろうな。鶴瓶に対するダメ出しがどこまで本音かはさておき、『家族に乾杯』と『A-Studio』が気色悪いと思うのはタモさんも私と同じだなんだな(黒い喜び)。番組の最後はタモリの淡々としたスピーチで終わってなにより。今後は、『タモリ倶楽部』と『ブラタモリ』でテキトーにお仕事していただきたい。