『欲望の資本主義2020スピンオフ』

2019年に放映されたインタビューの未放送部分も足して再放送したもの。

ジャック・アタリ大いに語る』
フランスの経済学者、思想家、作家。
いかにもNHKが選びそうなグローバリストという印象。
「日本は中国の工場とは切っても切れない」だの「もっと中国人を入れるべき」だの、コロナ禍の今、おのれの発言を思い返して不明を恥じる……なんてことは、おフランス人だからなさそうだし、ことによると「前から中国の危険を警告していた」くらいのことは言いそうである。
「次に来るのはアフリカの時代」:説得力無し。それとも、中国が牛耳るからアフリカの時代になるということか?
「将来、宗教的過激派とエコロジストが結びつく可能性がある。ひじょうに恐ろしいことになる」:唯一、深く心に刻まれた言葉。グレタとISISがつるむことはなさそうだが、第二第三の問題児の登場に要注意である。

『ジョセフ・スティグリッツ大いに語る』
経済学者@コロンビア大学
インタビュアーの安田洋祐が「日本には三方よしの言葉がある」と発言、スティグリッツが「これからは利他主義の時代」と応じた。順番は逆だったかも。日本の企業家がこの言葉を真に受けて、外国でカモにされるなんてことにならないか、心配である。日本国内にかぎれば、アリ。にわかには信じがたいが、ヨーロッパでも、老舗企業のなかには「三方よし」的な発想がある、と某有名ツイッタラーが書いていた。

『二―アル・ファーガソン大いに語る』
スコットランド出身の歴史学者
「大惨事を避けるための先行投資はほぼ無駄となり、大惨事を避けたことに対して誰も感謝しない」:非常時の電力会社などの努力を報じないNHKの社員の耳にはおそらく届かない言葉だが、忘れてはならない真実。献身的で立派な人も少なくないが、駄々っ子の数はそれをうわまわっている感のある昨今の日本を思う。
「定常状態を破るには戦争か災害しかない」:日本では災害が革命(や戦争)のかわりになった、という萱野稔人の言を思い出す。

エドワード・ルトワックナシーム・ニコラス・タレブを、NHKがたとえBSでもピックアップすることはなさそうだ。が、海外ドキュメンタリーで彼らをフィーチャーしたものがうっかり輸入される可能性はあるので、それを拝める日を楽しみにしたい。