『金魚姫』

闇夜に浮かぶ赤い提灯。

川面に映る赤い提灯。
ヒロインの赤いドレス。
赤い金魚。
赤が映える、陰影に富んだ映像美を堪能した。
終盤の水中撮影にドキドキ。青山氏はタルコフスキーのファン?

荻原浩の原作は未読。
お仕事ドラマの傑作『ボーダーライン』で名前を覚えた宇田学の脚色すばらしい。
映画監督、青山真治が監督するなら一見の価値あり、と期待し、期待以上のファンタジックなドラマだった。
人生どんづまりの青年、潤が、金魚の化身と出会い、生きる意味を再び見出す。
うだつの上がらない新米の仏壇営業マンとさまざまな人とのかかわりが、わずか一時間半のうちにときにシビアに、ときに温かく描かれる。職場の上司や同僚、客、元カノ、肉親、そしてなぞの美女、琉金。潤が親しく言葉を交わした面々の正体は……。琉金だけが転生するのかと思わせて、潤の意外な過去が明かされる。

瀧本美織にはとくに大物感はないのに、『ワンダーウーマン』のガル・ガドットを彷彿させる"明るいお姫様"ぶりがひじょうに魅力的だった。『剣客商売』に引き続き、極私的にポイント高し。
志尊淳は正直苦手なタイプなのだが、『太陽を愛したひと』、『植木等とのぼせもん』などNHKで大事に育てられているようだ。