1月のドラマ

『教場』
警察学校が舞台という一点にのみ興味をもって録画視聴。厳しい指導が忌避される昨今、このようなドラマが作られ、かつ広く受け入れられるとはちと意外である。主役が恐れていたほどグネグネしていなくてよかった。片目を失ったという設定でコンタクトをうまく使って底知れない雰囲気を漂わせた。『攻殻機動隊』の合田を彷彿させる。
各エピソードをもう少し削ってもいいのにと思わないでもなかったが、全体にテンポがよくBGMも抑制が効いている。
クールガイが泣きわめきはじめたところで、これでは主人公が後輩を喪った愁嘆場がどれほどくどく演出されるのか……と危惧した。だが、後輩死亡場面は映らず、校長が故人をしのんで花に水をやるシーンでほのめかすのみ。これは意外な見識。

『ケイジとケンジ』
脚本が福田靖だからおもしろいかも……という軽いノリで第二話から視聴。主人公が二人そろって単純馬鹿なところが楽しくてよい。俳優の私生活ネタには興味なし。録画は一度見たらすぐに消す。民放は一本も見る気になれないクールも多いのだから、いちおうチェックする気になるものがあるだけでもいいほうだ。

『病院の治しかた』
実話にもとづいた地方の病院の財政改革ドラマ。小泉孝太郎の演説シーンが柄に合ってるなあと思ったら、脚本担当が『八重の桜』と同じ山本むつみである。『八重』の徳川慶喜役は小泉氏の最高の演技の一つだった。画面から予算が潤沢でない感じは伝わってくるが、それも資金難の病院が舞台だからちょうどいいのかも。

『ハムラアキラ』
原作未読。
不運な女探偵が主人公のハードボイルド・ドラマ。主人公と準主人公の顔面偏差値の高さといい、かっこいいライティングといい、『ハードナッツ!』とスタッフが重なっているのだろうか? 某俳優が問題を起こさなければ、この時間帯にこれまた『ハードナッツ!』とテイストが似た『スリル~赤の章・黒の章~』の続きをやれたのかしらん。
シシドカフカは近ごろ希少なハードボイルドなたたずまいがかっこよい。ただボーカリストなら、もうちょい声を張ってほしいと感じる場面がいくつかあった。

実写ドラマではないが、おまけ一つ。
『映像研には手を出すな!』
コミティアで発掘された大童澄瞳が原作ということで、予告の段階から気になっていた。
アニメ制作に挑む女子高生三人組のお話。青春ドラマとしてもおもしろいが、何よりアニメを作る過程が当方のようなド素人にもわかりやすくかつ楽しくダイナミックに説明されていて、たいへんためになる。
ベタベタキンキンしたいわゆるアニメ声の声優がいなくて助かる。「設定が命」の浅草を演じる伊藤沙莉のややだみ声な感じが、聞いていて落ち着く。金森は実写でやるなら絶対若いころの江口のりこだ! プロデューサー気質で交渉がうまく、「いざとなれば金と暴力でなんとかします」という台詞が似合い過ぎていて愉快である。