『磯野家の人々~20年後のサザエさん』

松岡茉優西島秀俊が出ているならちょっと見てみるか……と録画してみた。わざわざ見なくてもよかったというのが正直なところ。

音楽が映画『海賊とよばれた男』に似てるなあと思ったら、やはり佐藤直紀だった。格調やスケール感がただよっていて、『経世済民の男』第二弾(があるなら)あたりで聞きたかった。

演出の鈴木雅之はヒット作も多い大ベテランだと思うが、今回は退屈させないテンポを保つのが精いっぱいという印象。
タラやイクラの暮らしぶりは紛れもなく現在なのに、なぜ磯野家の前の道路を未舗装にして昭和感を出そうとするのだろう?

就職氷河期に苦労した世代や現在就活中の大学生が見て、あの筋書きで感動するのだろうか?
働いたことのないサザエの言いたい放題に苦言を呈するのがカツオだけって、あの家ヤバすぎないか? ウン十年前にアニメで見た磯野家フグ田家は楽しそうだったが、このドラマの夕食シーンは「なぜマスオは家を出て行かないのか」理解しがたくなるような地獄であった。サザエもあそこまで押しつけがましい女だっけ? 弁当の製造法を修正しない意固地さが気持ち悪い。

濱田岳はさすがにうまい。
演技巧者の堀内敬子が出てきてびっくり。ほんとうに楽しいホームドラマで彼女を拝みたいものだ。
松岡茉優については、過去作をいくつも見てしまった影響で、終始もっと裏があるのではといらぬ深読みをしてしまった。
西島秀俊が意外によい塩梅で気弱なマスオを好演。
でも皆さん、こんな作品でもったいない。

一番サザエさんワールドの人らしく見えたのが、小出伸也演じるアナゴさんだった。最後に彼が勘違い新人をシめにかかったのだけが、爽快であった。