『まだ結婚できない男』がおもしろくて悪いか!

シリーズ1から13年もたったので、スタッフとりわけ脚本家の腕がなまっているのではないかと危惧したが、全然失速の気配はなく、毎週楽しませてもらっている。タイトルのフォントや音楽のアレンジがちょっと変わっただけで、以前のテイストは大切にされている。初回の「幸不幸は結婚既婚では決まらない、人生百年時代、第二ステージをいかに生きるかが大切」という講演は時宜にかなった明るいメッセージで、心が温かくなった。

17日の特番『「まだ結婚できない男」の全てがわかる 阿部寛×脚本家・尾崎将也対談スペシャル』はあやうく見逃すところだった。火曜のドラマ終了後に、地方ごとの放送予定を告知すればよいのに!
阿部寛は「桑野は変わっていない方向で演じたかった」とのこと。ひきつけを起こしたような笑い声や道路に引かれたラインからはみ出さないよう歩く子供じみた癖などは前シーズンより誇張されているが、あくまでやりすぎない範囲にとどまっている。滑舌の良しあしはともかく、コメディセンスは優れた俳優なのだ。
尾崎将也の顔は初めて見た。このドラマに愛着があるのは嘘ではなさそう……にお見受けする。年寄りまたは女子供目線のドラマが主流になっている昨今のテレビ界では、五十代独身男性目線で展開する連ドラはひじょうに貴重! これからもがんばっていただきたい。桑野が成長していないのはおもしろくてけっこうだが、英治の服装をもちっと大人の男らしくしてもらいたい。桑野と差別化するにはあれしかないのだろうか?

第5話『神様にお願い事して悪いか!』
女性トリオの旅のドタバタはさしておもしろいと思えず。桑野が古今の文学者哲学者たちの結婚観を並べ立てるシーンは笑えた。
この回、初めてリアル視聴中に"金田"探しに成功! こういうシーズン1からのファンのためのサービスも楽しい。

第7話『カフェを好きで悪いか!』
その気がないのに毒舌の合間にいいこと言っちゃうのも桑野なら、「親切な俺!」なんて自己陶酔せずに人のために骨を折るのも桑野である。今回は自分の儲けをふいにしてもカフェ存続に尽力する。かまってちゃんなところもあるかわり、こういう善行をアピールしないダンディズムもあるのが彼の魅力である。
第5話から2話ぶりに"金田"探しに成功。今回は親切な映し方だった。今後は会話の中でさらっと「金田」と言わせたりするのかな?

金田と義弟・中川良雄のバーでの会話もこのドラマに欠かせない要素である。中川が、女3人に搾取される生活でたまった鬱憤を晴らそうとするエピソードがあるのかないのか……男2人に言いたいことを言わせながらも、主婦のクレームをうまくかわしているあたり、尾崎氏はやはり手練れである。
お年頃の姪・ゆみも何かやらかしそうで楽しみである。
桑野とやっくんの友情(?)の行方も気になる。華やかな女性たちだけでなく、英治や棟梁以外の同性とのかかわり方にも興味がある。