『未来を花束にして』(監督:サラ・ガブロン)

シネフィルWOWOWで視聴。

最後に"世界の国名"とそこで婦人参政権が認められた年が延々流れる。東アジアは中国以外はシカトであった。性差別はだめでもアジア差別はOKですか。 東アジアは総スルーにしたかったけど、チャイナマネーの御威光に屈しただけ?

原題の"Suffragette"を『未来を花束にして』に変えるなんてぬるすぎるという批判があったようだが、ヒロインが花束を手にするシーンもあるし、特段ひどい改題とも思えず。

全体に予想より淡々とした演出であった。日常生活からかけ離れたことなど考えない普通の女性が、ひょんなことから婦人参政権運動に巻き込まれ、「自分も光を見たい」みたいな気持ちになっていく。結果として夫には捨てられ息子は他家に養子に出される。ヒロインも哀れだが、平凡な夫にも同情してしまった。登場人物で一番共感を持てたのは、淡々と自分の仕事をこなすスティード警部だ。警察のサフラジェットへの仕打ちはやりすぎだが、彼女らのやり口にも感心しないというスタンスで、当時の良識派は案外警部のような立場だったかもしれないと思わされる。

エミリーは殉教者となって祭り上げられる。ジョージ五世の馬に乗ってた騎手は死に損!? だが調べたところ、騎手は脳震盪を起こしただけで二週間でレースに復帰したとのこと。丈夫だな! それでも、あれは死んでも不思議はない状況だった。

ヒロインはイギリス労働者階級の中でも貧しい部類に入るようだし少女期から洗濯工場で働き詰めだったのに、あんなふうに読み書きできるのには違和感を持った。

 

同時代を描いたイギリスの連続ドラマ『セルフリッジ』の一こまを思い出した。
デパートの幹部「君は婦人参政権には反対かい?」
新聞社のオーナー「そんなことはない。彼女らは影響されやすい。我々が世論を作るさ」
平成のいろいろな世論調査を見る限り、全体的な傾向としてオーナーの言い分が間違ってはいないのがなんともかとも。影響されやすいのは定年後の男性もご同様。