『60分特番 岡田准一×監督:木村大作が語る"美しい時代劇"ができるまで』(時代劇専門チャンネル)

楽屋話はスタッフに限ると思ってきたが、今回の監督&主演の対談はテクニカルな話題も多く、おもしろかった。

監督のワンシーン、ワンカットの希望を叶えるために、岡田が立ち回りを考え直したあたり、すごいな。
デューク真田もいい加減一度、帰国したらどうなのか。真田VS岡田のチャンチャンバラバラが実現したらかなりのものができると思うのだが……。あと今回の西島秀俊BSプレミアム以外でなかなか剣技披露の機会がない高橋光臣も共演てことで。

対談の中で、今回の共同殺陣担当にしておなじみの久世浩(ともうお一方失念)の名前が出なかったのは残念。

岡田:(自分が撮影担当の現場では)監督にもモニター見せないですよね。
木村:チャン・イーモウとの現場は特殊な状況だったので、例外的に見せた。どんな題材でも人がやってないことを十くらいやってみたい。抵抗を蹴散らす。

木村:(木村大作はスタッフにもキャストにも厳しいと評判だが)やる気満々で携わっているのを誰かが象徴的に表現しないと、スタッフ全員がへたる。ある意味虚勢張って生きてるようなところがあるね。若いときはもっとそうだった。
岡田:大作さんは、いい絵を撮るためでなければ怒鳴りませんもんね。その熱意を維持するのはたいへんなことでは?
木村:ある俳優に「その芝居、違うよー!」って始まっちゃったんだよ。(←「俺が始めたんだよ」の意)「違うだろ、それ!」って。夜間ロケで。そしたら健さんに「大ちゃん、ちょっと来て」って呼ばれて。「あれはだめだよ。大ちゃんはキャメラマンでついてるんだから。俳優に文句があるなら、監督に言って、監督から言ってもらわないと。大ちゃんから直行で役者にああしろ、こうしろってのは、それだけはやめたほうがいいよ」って。それからは、それやってないんだよ。
岡田:だいじょぶですよ。『追憶』でも(監督じゃないのに)やってましたよ。

ひでぇもんだ(笑)。でも、こんな映画バカもやがて消滅していくのだろうな……。

ほかに印象に残った木村監督の言葉。
*スタッフが一生懸命小さな野花を植え替えてたら、ちゃんとフレームに入れる。そういうことで、スタッフは次もがんばろうと思える。
*映画の現場くらい楽しい仕事はない。たいへんなのは現場に入る前のお金集め、ホン作り、いいスタッフ集め。
*役者に天才はいない。持ってるものがいかに出るかだけ。
*厳しさのない楽しさはおちゃらけてるだけ。厳しさを楽しむことが大事。(美術担当の原田満生もつねづね言っていること)