『鳴門秘帖』第6回『十年ぶりの再会』

脚本家の尾西兼一によれば、「NHK始まって以来(?)のエロティシズムとバイオレンスを加味したごった煮時代劇となった筈です」とのこと。『神谷玄次郎捕物控 』は? と言いたくなるが、たしかに『鳴門』のほうがちょいと濃い目かもしれない。
ハエ取りリボンのごとく、あとからあとから美女がくっついてくる法月弦之丞。今回は、広い大阪でなんでそこまで都合よくあの人この人が"ばったり"出会うのか、と少々滑稽味を感じた。が、主要登場人物の出入りが多くても視聴者を混乱させるわけではないから、書き方がうまいのだろう。それにしても忙しい回だった。

平賀源内が出てくるとほっとする。この人だけは賊に襲われませんように。
武田玲奈は洋装より和装のほうが風情があっていい。ほっそりしたうなじにエロティシズムがある。前回までいまにも大量喀血して死にそうだったのに、最終回までがんばるんかい?

千絵とお綱は最終回で姉妹の名乗りを上げてめでたしめでたしになる? それともどっちか死んでしまうのだろうか。けなげな万吉はちゃんと報われてほしいが、あっさりやられる銀五郎の例があるので油断できない。

「人でなしの男が人と触れ合う中で真人間になっていく」のが吉川英治原作だそうだが、初回からそこまで人でなしとも感じなかった。にしても、こういう外連味たっぷりの娯楽時代劇の主役が務まる山本耕史は貴重な人材である。高橋光臣はエロよりバイオレンスに比重が置かれた話の方が似合うかもしれない。