『コンフィデンスマンJP』第1話

期待8割、不安2割くらいで待機していたところ……『リーガルハイ』(2013年放送の、いわゆるパート2)放送時のように、脚本家の冒険が好みに合わないという面はなかったが、演出のテンポか何かが微妙に肌に合わず、録画したもののまったくリピートしたい気持ちが湧いてこない。同じ古沢良太脚本でも、『リーガル・ハイ』(2012)や『デート』には、何から何までどんぴしゃりの気持ちよさがあった。今作の企画は『リーガル・ハイ』、『デート』と同じ成河広明氏だそうだが、演出のメンバーはまったくかぶらないようだ。目利きの方が「TBSならもうすこしうまくやれたのでは」とおっしゃっていた。たしかに、クドカンと組むスタッフあたりなら、もっと上手に料理できたかもしれない気がする。

画面の明るさはほどよい印象。怪我したふりで床でのたうちまわるダー子に「川谷拓三じゃないんだから」と突っ込む台詞は笑える。この手のオマージュ探しに集中するのが、今作を楽しむコツ?

あれだけエキストラを雇ってジャンボ機をチャーターしたら、小銭単位の儲けも出ないのでは? と思うが、まあそこを突っ込むのは野暮というもの。「中南米じゃあるまいし、札束で空港職員が不正を見逃してくれるの?!」のもやもやは払拭されて助かった。

ボクちゃん、とても詐欺師が務まりそうに見えないのだが……とちゅうから、それが狙いなのがあからさまになっていた。今後も「敵を欺くにはまず味方から」作戦の犠牲になりつづけると予想される。東出昌大をキャスティングした理由がわかる。『リーガルハイ』スペシャルに出た時の彼には別に大根風味も感じなかった。が、コメディを演じるところを拝見するうちに、SNSであれこれ言われるのがなぜだかわかってきた。

長澤まさみは映画でも(TV中継で見た)舞台でもいい芝居をするし、細いだけじゃないフォトジェニックな肢体の持ち主だし、花も実もあるいい女優だと思う。が、完璧にはじけたコメディエンヌになれるかどうかには少々疑問あり。古沢作品の『リーガル・ハイ』も『デート』も、めっぽう舌の回転が速く、かつ絶妙なコメディセンスを持つ堺雅人長谷川博己がぐいぐい画面を引っ張っていったのに比べると、今回は彼らと同じ技量を持つ小日向文世が三番手なので、なかなか厳しいものがある。
問題は演技より演出家が作るテンポなのだろうけど。

来週のゲストは吉瀬美智子か……演者に頼る作りでないとよいなぁ。