『全力失踪』第3回

*今週の磯山
東京に戻り、ホームレスになる。
タカが仲間にしてくれる。
ホームレスの先輩にいろいろ教わりながら、発見に満ちた生活を送る。
タカの家族に会いに行く。
タカさん死す。
ホームレス同士で遺品争いが発生。磯山は大事な箱を奪取、現場から脱走する。
タカの家族に"遺産"を持っていく。
住み込みでラブホテルの受付を始める。
ホテルのオーナーが襲われる。
犯人とおぼしき女の似顔絵を残してホテルを去る。

上記以外にも、女房に「上司はスケコマシだ」と忠告を与え(小学生3人の台詞が一番笑えた)、また留守宅部隊にも動きがあり、映画一本にも相当する充実した内容。心に残る50分だった。
CMがないから集中が途切れにくい、というのを差し引いても適度なテンポで飽きさせない演出である。

磯山はふだんは積極性のあるタイプではなさそうだが、社会から疎外された身分になったからこそ、なんとか人とつながろうと試みるのではないか。
タカも地獄を見たが、家族も地獄を見た。妻子の生活の困窮が短時間で伝わってくる。
亡き父が貯めた札束、そして励ましのメモを見る息子。感動せよ! のお節介なBGMも、余計な回想シーンも説明台詞も、息子の涙もない。淡々として硬質な演出が心にしみる。

辻萬長ほどの役者を使ってたんなる寝たきり老人で終わるとは思えない。最終回で何をやってくれるのだろう?
このドラマで一番ユニークなのは、金貸しの高峰の描き方である。磯山の父と同じくらい今後の予想がつかない。とりあえず、ななみは変なおじさんを家に上げるのはやめたほうがいいと思う。