『ブランケット・キャッツ』第3話『二人ぽっちのブランケット・キャット』

健康、記憶、仕事、持ち家など今まで持っていたものを失った人々が苦しんでいた1話2話。
長らく持ちたかったもの――ものというか、子どもだが――をあきらめて、次に進もうとするのが第3話。世間的には前2話のほうが深刻と受け取られるのだろうが、石田夫妻の痛々しさが胸に迫る。不妊の原因が女性側にあるとはかぎらない、ことをこのドラマで初めて知る視聴者もいるのだろうな。それだけでも啓蒙的な価値があるドラマだ。

猫は人間の役に立ってるけど、人間が猫の役に立ってないじゃん、これがえんえん続くのか……と思いきや、今回はチャイがめでたく優しい石田夫妻に引き取られた。これで秀亮が負担するキャットフード代も七分の六に減るわけだ。

「子どものかわりだっていいじゃないか」
これは原作にもある台詞? 重松清は読みたい作家ではないのだが、こんな柔軟性のある言葉を書けるなら、極私的評価はちょっと上がる。

「がんばって猫のこと勉強する」
いや、有希枝さん、がんばんなくていいから。猫の生活態度から、ちっとはだらだらすることを学んでくりゃれ。
加藤虎ノ介は器用な時代劇俳優と思っていたが、今回はソフトな現代人男性を自然に演じている。ともさかりえは安定した助演ぶり。