『4号警備』スタート

作:宇田学
自分にとってこの人の前作は『ボーダーライン』。若き消防士の成長を中心に、消防の世界に生きる男女の葛藤や世相を描いた秀作だった。今回も出だしはしごく快調。主人公に回し下痢……ヒドい誤変換だ……回し蹴りをやらせたり、カーチェイスで車を壊したり、アクションでもがんばってくれて嬉しいが、NHKがこういう方向にサービス精神を発揮するのはよくあることなのか?

主人公、朝比奈は仕事熱心ながら口の利き方はいかにも今風の若者。真面目なドラマだが息苦しくさせない工夫が、彼の人物造形等等に散見される。

誰もが盲目の広瀬に遠慮する中で、朝比奈だけは本音をぶつけ、最後には広瀬から感謝の言葉を勝ち取る。『ボーダーライン』同様、少々リスキーなネタからも逃げずにドラマを作る姿勢に頭が下がる。

相棒の石丸を演じる北村一輝はなよっとしたしゃべり方で、今後の人物像の掘り下げが気になる。
警備部長を演じるのが片岡鶴太郎。『ボーダーライン』の筧利夫のように、味のある指導者を見せてくれそうだ。

いつも悲劇のヒロイン風の窪田正孝(朝比奈)や木村多江(ガードキーパーズ社長)が、今回は明るかったりおちゃらけたりで新鮮味がある。
HPによれば、第4回のゲストが高橋光臣とな! 現代ドラマでもいい演技をする場を与えられますように。

しばらくは土曜夜7時半から8時45分まで、NHKの良い面だけが出た番組を拝むことができそうだ。
無理に45分かけなくたって、30分でじゅうぶん見ごたえのある話は作れるのだ、とつくづく思わされる。