『真田丸』第33回『動乱』

お歴々の頭脳的心理的な戦いの迫力に満ちた45分間だった。脚本が三谷幸喜で、演出が三谷幸喜でなかったからこそ視覚的な躍動感や緊張感も味わうことができたというもの。

悲しいほど人集めの手練手管にたけていない三成。こんなんで関ケ原の西軍の成り立ちをどうこじつける気なのか!? と危ぶんでいたら、40分以内に答えが出てしまい、「大盤振る舞いだな」と感心した。

徳川屋敷にぞろぞろ集まってくる武将たちの言動が、これまで積み重ねた描写から納得できるものになっていて、連続ドラマの醍醐味を堪能した。小早川秀秋は、秀吉生存中から「こりゃ~、せっぱつまったら裏切りたくなるよなぁ」と感じさせる描き方だった。目立たないながら今回も、浅利陽介は終始"腹が坐らない"男の演技をしている。

同じ「太閤殿下が築いた太平の世を守るために」という台詞を吐いても、衷心から口にしている者、心の中でぺろりと舌を出している者、自分でもウソかホントか自信がない者、と人さまざまなところがおもしろい。
今年の大河は狙ったコメディシーンは必ずしも笑えないのだが、昌幸がいけしゃあしゃあと家康の助っ人としてやってくるシーンには笑ってしまった。これからもこの爺さんには元気でがんばってもらいたい。

来週は、直江兼続というか村上新悟の美声による『直江状』朗読を聞かせてもらえるのだろうか? 公式HPで聞けるだけでも御の字かもしれないが、ドラマの中で生かされればなお嬉しい。