『ダウントン・アビー4』第4回『ロンドンの一夜』

大邸宅"ダウントン・アビー"を舞台に繰り広げられる群像劇も早や第四シーズン。巷で言われるほど格調高いお話ばかりではなく下世話なネタが多かったのだが、今シーズンはかなりどぎつい展開になってきた。とりあえず、グリーンをヤツメウナギの沼に放り込みたい気分である。

シーズン前の予告編には、ローザが王に謁見する豪華な場面が流れた。シーズン3までヒットしたおかげで、予算もかなりアップしたということかな。
連日狂ったように格差叩きをやっているNHKがこういうドラマを流すのは妙な気もする。輸入品ならNHK色に合うかどうかとかどうでもいいのだろうか。おかげでこちらは楽しませてもらっているが。

自分の狭い映画ドラマ鑑賞体験の範囲から言えば、日本は大金持ちの描写がもっとも下手な国。とにかく嫌な奴にしておけばいいというノリ、さもなきゃせいぜい小金持ちにしか見えない作りになる。イギリスは、海外に輸出するさいに中~上流モノが売れることもあって、せっせとその手の作品を作りつづけている。お屋敷の乳幼児の世話はナースの役割で、メアリーが我が子に会いに行く描写はほとんどない。上流はそういうもんだという常識がある諸外国はともかく、日本のうるさ型も海外ドラマとなるとクレームはつけないのだな。

今シーズンは、犯罪事件の顛末、令嬢たちの身の破滅を招きそうな恋愛模様に加え、メアリーの女相続人としての成長にも興味が惹かれる。今までのジュリアン・フェロウズの手腕からすれば、領地経営を学ぶ過程も抜かりなく描かれそうだ。
グレッグソンはペテン師の手口を見抜き、伯爵の損失を取り戻す。第3回はワルな要素がある男の頼りがいや観察眼の鋭さを描写しておもしろかった。しかし、グレッグソンはほんとにドイツに行ってしまうのか?
現実に対処する能力では他の追随を許さないバイオレットが活躍しないわけはないので、どんな方面で手腕を見せてくれるのかも気になる。

召使グループを見ると、誠実で有能な人(今季はますますヒューズさん無双!)、職人気質の頑固者、悪気はないけど頼りない人、悪気はないけどトラブルを招く人、粗忽者、性悪、がまんべんなく配置されていて、どんな世界でも分布はこういうものかもしれないと思わされる。人の好い伯爵夫妻は、性悪のトーマスがアンナの悪口を言うと真に受けてしまう。二人とも十年以上屋敷で働いているのに! 夫妻は人を見る目がないにもほどがある。しかし、フェロウズは本作でも映画『ゴスフォード・パーク』でも、召使に「自分は仕事をしてるだけ。貴族の友達なんかじゃない」と言わせているし、しょせん階上と階下は別世界だということを強調する意図もあったのかもしれない。