『真田丸』第4回『挑戦』

噛みごたえのあるダイアローグ! 今回はこれに尽きる。昌幸が織田にはったりかますつもりで書いたインチキ手紙の真相を、三方ヶ原で蹴散らした相手、家康が暴こうとする。重厚なムードの有無はさておき、狸親父の化かし合いの内容は『太平記』レベルだった。三谷幸喜の力量なら今回だけのマグレにはならないはずなので、今後の展開がますます楽しみだ。「合戦シーンを書くのは得意でない」みたいな発言を読んだ記憶があるが、そこは演出家しだいということで、あまり心配していない。

信長より信忠の出番が多い戦国ドラマは珍しい。本能寺の変描写のあっさり加減は『風林火山』といい勝負。"真田から見た戦国"を描く姿勢が一貫していて気持ちがいい。
猛者の昌幸が知恵を振り絞って危ない橋を渡り切った!と思った矢先、すべてが台無しになるラストシーン。あっさりしたドライな演出だが、リアルに"一寸先は闇"の時代が迫ってくる。

世間で大人気の鋼太郎には、テレビではさほど魅力を感じず。草刈正雄とのツーショットでは、昌幸を圧倒するオーラはないなと思った。
玉置玲央氏の誇り高い嫡男演技はたいそう魅力的だった。父親ほどの傑物でないにしても、まじめに参謀を務める武将を滑舌よく表現していた。
打擲される光秀の目が笑っていた。視聴時は、自分より血統が下の信長を見下しているのかと誤解した。ネットでハコちゃんのインタビューを読み、M的陶酔シーンの表現だと書いてあって、己の不明を恥じる。ともあれ、岩下尚史の『芸者論』、『名妓の資格』はするすると読みやすく、かつためになる名著であった。『ヒタメン』もぜひ読んでみよう。
同日夜9時から再放送された『国盗り物語』総集編でも信長が光秀の頭を欄干に打ちつけるくだりをやっていた。あれはもう日本史上もっとも有名ないじめシーンの一つになっている。