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今季の連ドラ

『おかしの家』
地上波はこれ一択。石井裕也が描く、おおむね優しくときに残酷な寓話的世界。なんといっても柳田裕男(撮影)の作り出す画面が温かい。フィルム撮影なのかと思ったが、たしかめる術なし。いつつぶれてもおかしくない駄菓子屋の裏庭でだべる男達。奮闘するシングルマザーは、母親になったって自分には子どもの部分があると自覚している。いろいろと紋切型に走らないところが好印象。オダジョーとオノマチの食い合わせが悪かったらどうしようと危惧していたが、二人ともソフトな芝居で大丈夫だった。島田久作に棒ゼリー(?)をしゃぶらせる思いつきがすごい。

『掟上今日子の備忘録』
家族につきあって視聴。カラフルなCG、軽快なBGM、見ていて疲れない程度に速いテンポ。ラノベの実写化としてお手本のような演出だ。ガッキーはヘんな服を着ても可愛い。

『破裂』
椎名桔平が『カンパニー』から19年ぶりにNHK主演をつとめる。読み捨て週刊誌に載ったマンガみたいなノリの演出がピンとこなくて早々に脱落。切れ者の悪役らしい台詞をまくしたてる滝藤賢一だけはおもしろかった。

『無痛』
津嘉山正種が出ていると聞いてあわてて第二話を視聴。が、佐藤祐市にしてはもたついた演出で第三話でギブアップ。

『しんがり~山一證券 最後の聖戦』
WOWOWらしからぬコントを入れて滑ったり、表情が硬すぎるキャストがいたりと、演出はときどき残念だったけれど、企業ドラマとしては久しぶりにストーリー自体におもしろみあり。主人公が巨悪を叩くだけの話にもっていかないところに好感が持てた。業界用語の説明は親切だし、特捜に呼び出された幹部をフォローするくだりなど初めて知ることが多かった。最後に社旗を持って写真撮影する主人公の姿に胸が熱くなる……のはもはや旧世代のあかしか。

『海に降る』
JAXAにくらべると知名度の低いJAMSTECを紹介し、〈しんかい〉をたっぷり登場させ、深海の映像を出しただけでも放送した価値のあるドラマ。
JAMSTECの安全基準を疑われるようなストーリーは作り話と現実の区別がつかないタイプの視聴者には悪影響がありそうだ。いつからか刑事ドラマにやたらとキャリア対ノンキャリの構図が持ち込まれるようになったが、学究ドラマ(?)が研究者肌対政府寄りの儲け主義者みたな構図を安易に売り物にするのはカンベン。カスミンはお芝居、とくに目力もうちょっとがんばれ。

『誤断』
11月22日スタート。製薬会社の隠ぺい問題を描く。また隠ぺいかよ!とげんなりしかけたが、脚本:羽原大介、主演:玉山鉄二の『マッサン』コンビに期待が沸く。朝ドラみたいにコメディ仕立てにする必要がないから、ストーリーも演技もシリアスに魅せてくれるはず。主演インタビューを読んだところ、ありがちな報道に踊らされることなく堅気の職業人の立場や言い分に想像がおよんでいるようで安心した。

スウェーデン国家警察特捜班』
英米のスターとは異なるもっさりした中年男が主演(じつは青年?)。演出ムードは陰鬱。マフィアのやり口が今以上に怖くなったら脱落の予感。

『THE FALL 警視ステラ・ギブソン』シーズン2
11月21日スタート。シーズン1は5回かけて"犯人がつかまらない話"をやってくれた。2では進展するのか? たとえまた逃したとしても、犯行のサスペンスや捜査班とメディアのかけひきなどで十分おもしろくしてくれるだろう。主人公に出世欲をふくめたさまざまな欲があり、頭が切れ、危機に直面しても過剰に慌てたり落ち込んだりしないのが、イギリス・ミステリの好きなところ。主演のジリアン・アンダーソンは、あちゃらの40代としてはたいへん美しい。ああいう感じのデキる女を日本のドラマで描くのは、チャンネル権を握る人々の嗜好からいって無理なのか……。