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『劇場版 MOZU』(監督:羽住英一郎)

(ネタバレなし)
シーズン2でストーリーが破たんしたので映画はスルーと思っていたが、映画館ならではの轟音と迫力のある絵を楽しむために鑑賞した。土曜の午後だってのに、興行収入二週連続第一位の映画にしちゃ客の入りが50人ぽっちで、田舎で残念。せっかく「チャーオ!」が出てきたのに爆笑が起こらないのも物足りない。が、映画そのものは楽しく見ることができた。ともかく、映画バカが集まって闘魂燃やした作品はいまどき貴重で大好物である。

ストーリーの整合性にはもはや期待していなかったので(くどいし失礼)、逆に大事な問題の答えが一つ出ただけでもめっけものの心境。説明不足や人体の瞬間移動か自然消滅か?!という謎のシーンの数々は、監督が映画のテンポを優先してあえて意味のあるシ―ンを削ったからかもしれない、と大甘な推理をしてしまう。真相は1年後にでも本に書いてほしい。邦画をつまらなくする三要素、(1)反戦趣味のねじこみ、(2)盛り上がったところに出しゃばって女子供の正論をかますお邪魔虫、(3)登場人物の気持ちを述べる長台詞、がないのもすばらしい。

狭くて暗い室内での殺し合い、開けた空間でのどつきあい、走る車両上での痛いあれこれ、スタイリッシュな紳士がぶっそうなもんを繰り出す和製『キングスマン』的アクション。出血大サービスである。中年メインキャストたちはたぶんデビュー時は非肉体派で、だからこそ彼らのアクションには魅せるための"弾む"動きがなく、あえていうなら鈍重な重量感がある。

大杉の頭脳面のしぶとさがよかった。

映画史上有名なアラン・ドロンチャールズ・ブロンソンのシーンのオマージュらしきもの以外に、実はいろいろあるのだろうな。

実在のフィクサー名のアナグラムが出てきたのがおもしろかった。ティーンエイジャーが聞いてピンとくるのかな? あの日の劇場内は30代以上とおぼしき観客しかいなかったけれど。

暗闇にロウソクが灯る場面と暗い船内シーンはとくに江崎朋生(撮影)と三善章誉(照明)のコンビ力を感じた。

当日一番楽しんだのは画面の力だが、のちのちまで印象に残るのは菅野祐悟の音楽かもしれない。

西島秀俊氏はほんとにご苦労様というか、これで気が済んだだろうから、また文芸映画に戻ってきてくだされ……まさかまだやり足りないんじゃあるまいな。
知能指数高めのキ印をやらせたら双璧の長谷川博己伊勢谷友介が共演しているだけでも、いかに『MOZU』が狂った映画かわかるというものだ。ハセヒロは芸術的な質で本年度ベストテン入りは堅い『この国の空』にも出たし、本作は商業的に成功したし、今年はいうことなしでしょう。伊勢谷氏は結城中佐、真虎さん、高柳、とスカッとする役ばかりで気持ちいいだろうな。怖いもの見たさで『チューボーですよ!』をチェックしたけれど……あまり演技してないところを見せない方がいい気がする。
松坂桃李はアクションはお手の物のようだが、ハセヒロとの対話シーンでも負けてなかった。舞台『銀英伝』(TV中継)も悪くなかった。
ビートたけしの滑舌が意外とまともで聞き取れた。

石井隆の『GONIN』のように10年くらいのちに『MOZUサーガ』をやってくれたら楽しいかも。


(軽いネタバレ)

 

 

『新世界』は「おうちにかえりましょう」のアナウンスにくっついて流れるイメージだったが、これからは聞くたびに愉快なカーチェイスを思い出して吹き出してしまいそうだ。
花が美希を「おばさん」呼ばわりするたびに、若干イラッとした。
レストラン場面はもうすこし落ち着いたノリでもよかったんでは?

(ラストネタバレ)

 

 

 

第三の男』のテーマが流れるから、クラキダが友人と決別して歩み去るのかと思ってしまった。シーズン1が悲惨なクリスマスで幕を開けたから、明るいクリスマスで幕を閉じるたのは、意外なプレゼントである。