『神谷玄次郎捕物控2』第七回『小ぬか雨』

かっとなって毒婦を殺してしまった新七と、がさつな職人との結婚を控えたおすみの束の間の恋。
こんな小ぬか雨が降る日には、惚れた男とすごしたひと時を思い出すのだから、おすみの人生も真っ暗ではないと語るお津世。薄闇に一つだけ火が灯っているような、鬱々とした話だった。パート1にくらべると重苦しい話が多いパート2。惚れた女の死や犯人捕縛でいったん区切りがつく回よりも、女にはこれから延々と砂を噛むような結婚生活が始まるのかと思わせる今回のほうが、後味が悪い。

男女の情愛の機微が要となる話にしては、新七役、おすみ役とも力量不足だったのが残念。そりゃまあ木曜時代劇の面々よりは上かもしれないが……。福田麻由子は『風林火山』以来か。かつては押し殺した悲しみや激情の表現にたけていたのに、今は伸び悩んでいるのだろうか。

エンディングで神谷が竹を切る場面は、CG撮影と知って驚いている。竹がリアルじゃないにしても演者の太刀裁きが見事でなければ作れない映像であることにかわりはない。俳優の鍛錬と撮影技術の進歩が噛み合った好例である。