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『リキッド~鬼の酒 奇跡の蔵~』(2)『理想の酒』

大赤字を抱えた老舗酒蔵の一人息子が、蔵を存続させるために一念発起!
すがりついたのは、「鬼」と恐れられた伝説の老杜氏だった。
さまざまな思いが交錯するなか、追い求めた究極の一滴「リキッド」が流れ出るとき、起死回生の逆転はなるのか?
(公式HP)

ドキュメンタリードラマ『京都・丸竹夷にない小路』や『京都人の密かな愉しみ』で、伝統にしたがう静かな生活の営みを描いた源孝志が脚本、演出を担当。コミカルなシーンや諍いのシーンはかならずしも得意ではないようで、第一回は「浮いてるなぁ」と感じる場面もあったが、第二回は魅力満点だった。たぶん今の日本では洋酒造りよりも報道されることが少ない日本酒の製造工程が、丁寧に説明されておもしろかったし、それ以前に、食用米と酒米がちがうことすら知らない人間にとっては、米の争奪戦のくだりも新鮮だった。

スタッフに『新日本風土記』に関わる人もいるだけに、夜明けの白山連峰などは説明されなくとも"霊峰"の神々しさが伝わってくる。
主演の伊藤英明は、水を含んで(他の人にとってはかなり)重くなった米の包みを軽々とかついで階段を駆け上がる。元エリート銀行マンなんていう設定より、こういう身体的な説得力がこの人の真骨頂だとつくづく思った。柄本佑の静かなナレーションが、中島ノブユキのBGMともども、源カラーにしっくりくる。池田成志が真人間の役で出てきて嬉しい。

杜氏津川雅彦はもちろん名演)たちがめざす大吟醸そのもののような清冽なドラマは、次回で終了。人間関係は説明不足なところもあるが、あくまで酒が主役なので、無事に名酒ができあがって美しく終わってくれれば言うことはない。