『花燃ゆ』第14回『さらば青春』

とりあえず、桂役の東山氏が座る動作だけでも時代劇のムードを出していたので、まるまる45分無駄にした気にはならなかった。
中の人が苦手なこともあいまって、いつもプルプルしている小田村を消去したくてたまらない。松陰たちをなだめるのが、もっと上の役職の――もっとうまい俳優が演じる――人物だったら見る側のストレスが減るのになぁ。

ストーリーの内容が薄いのを、音楽やスキャット(?)で盛り上げようとする演出が苦しい。

ずいぶんと現代的な原稿用紙が見えてびっくり。ほんとにあんなんだったのかぁ?

主人公がおにぎりを運ぼうとして大事な話を立ち聞き。このパターンがあと8か月続くのか……。
「何かあったんですか?」、「~~なんですか?」という台詞がとても安っぽい。わかりやすさ至上主義のプロデューサーの指示もあるのだろうが、わかりやすくても、もうすこし格調を感じさせる言葉遣いがあるだろうに。

車座になった男達の議論が段階を追って熱を帯びていくさまが、なんだか上滑り。ただし、瀬戸康史の芝居には惹かれた。月代のあるヅラをかぶるとキューピーさんになってしまうのが残念ながら、意外と声に落ち着きがあり、踏みにじられる小役人の苦渋をしっかり表現していた。次は戦国ものでぜひ。
赤禰武人の名が出てきた。奇兵隊で、赤禰が高杉から差別的な言葉を浴びせられる場面をやるのだろうか。ストーリーより演出のパワーで乗り切った『龍馬伝』でさえ、仲間内の身分差別は描かれたのだが。

瀬戸くんががんばっている変わり、母親役の芳本美代子のアイドル臭が抜けきらないのが残念。

ご近所のお嬢さんたちと立ち話する文に人妻らしい貫禄というか落ち着きがない。「あの優しい兄上が人を苦しめるはずはない」。無知から来る純粋さや善意がいかにはた迷惑か、『ダウントン・アビー』なみに優雅に意地悪く描くのは、もう日本の地上波では無理なのか。吉田ふみを演じる小島藤子はなかなか可憐で、明治ドラマでも見てみたい。

妹の告げ口がもとで大人に叱られる松陰。情けない構図である。
今まで温厚だった父上が初めて鉄拳をふるう。「殴ったね! 叔父貴にしかぶたれたことないのにぃ!」
荒れる高等遊民はまたも野山獄に預けられることとなる。当然、松下村塾も閉鎖である。ここで驚くなんて、文をおバカさんに描きすぎだ。今だったら松陰は一日中ツイッターやってるタイプかな。

来週は、井伊大老の「ここでやらんで、いつやる!?」を楽しみにしよう。