『花燃ゆ』第13回『コレラと爆弾』

2月にいったん脱落したのだが、松陰が死ぬ回まで4回くらいは見るために視聴再開。

ネットでさんざん悪評を目にしていたので、"聞きしに勝る"とまでは思わなかったが、お金と手間がかかっていそうなセットにふさわしい物語が展開しないので、大道具さんがつくづく気の毒。話が幼稚なわりにOPが立派といえば最近では『平清盛』だが、『花燃ゆ』のほうが両者のレベルの差が大きい。

いろいろ物騒なもんを持ち込むから異人を追い払え!となるのはわかるが、なんであそこまで"帝>>>公方"と考えるのか説明がないので、松下村塾の面々の信念とやらに説得力がない。いきなり"公方=賊"扱いしちゃう松陰がDQNぽく見えるぞ。
平田満がめずらしくちゃんと仕事をしてる!と思ったら、あっけなく死んでしまった。こんな大河だったら、早期退場が幸せかもしれない。
一番びっくりしたのが、高杉晋作の京都への瞬間移動である。そんな超能力を発揮したにもかかわらず、彼と久坂は学園ドラマレベルの口論をしただけだった。
蟄居を命じられた松陰に「そんなの破っちゃえ」とそそのかすのも軽けりゃ、妹が「変わりに見てきます」ってのも軽すぎる。自分より二回りも大きい伊勢谷友介を背負うほっしゃんが辛そうであった。
主人公の文さんは、よその子の面倒を見たり、看護の心得もないのに診療所のあたりをうろついたり、なんとも暇そうである。女性大河なのに、ヒロインはじめ女性が出る場面がことごとく退屈だな。

セット作り以外でよかったのが、梅田邸場面の落ち着いた照明撮影。
間部詮勝を演じた堀部圭亮にも安定感あり。『タモリクラブ』に出るときはふざけてるくせに、NHKのドラマではインテリ枠の座を確保している。主人公の(兄たちの)敵が憎々しくパワフルであるほどドラマはおもしろくなるので、高橋秀樹ともども見せ場を作ってもらいたい。高橋、堀部、東山紀之だけが"重厚な時代劇"していた。この三人をメインに据えた渋い時代劇を見たいものだ。