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『風の峠~銀漢の賦~』第3回『友の死』

中盤の胆である、主人公の親友の死が描かれる回。

武士もかなわぬ覚悟を決めて一揆を起こした十蔵にくらべ、狭い了見で感情的になる源五がやや見苦しい。脚本の問題なのか、演者の力量の問題なのか……。それでも、刑場で娘を思って身もだえする親友の心を鎮めるべく、思い出の漢詩を必死に読み上げる源五はよかった。時代劇ならではの力強くも悲しい別れの演出だ。
松浦将監は、(最近の大河ではとんとお目にかかれない)計略をめぐらし、親の敵にして藩の膿である九鬼夕斎を切腹に追い込む。夕斎の場面は撮影に凝っていたので、ここでおさらばとは若干寂しい。悪役の薄気味悪さを漂わせた中嶋しゅう氏の経歴を見ると、舞台メインの俳優さんらしい。TV主点は大河数作と、なんと昨年の『ロンググッドバイ』! どこに出ていたのか、まったく思い出せない。2010年には、あの千葉哲也と舞台『ブルーオレンジ』に出演したとか。もし収録されたならETVあたりで放映してほしいものだ。

夕斎今わの際の「勝手に悩め、我が子よ」は重い台詞である。藩政をつかさどる側にまわった時の将監の苦悩が描き切れるかどうか、来週からの見ものだ。主が死ぬ前に、文鳥が放たれる。不自由でも立派な屋敷で庇護のもとにあった文鳥が、はたして野外で生き抜いていけるのかなんとも心もとない。

夜の室内場面は、いつも照明、撮影がていねいで引き込まれる。野外場面としては、冒頭、蕗が洗濯物を干す場面に、映画のような奥行きと力強さを感じた。桜庭ななみのほがらかな表情も魅力的だ。

高橋和也は、男性版・貫地谷しほりとも言うべき手堅い名わき役だが、一度くらいこの枠で主演をやらせてほしい。『薄桜記』でも『秘太刀 馬の骨』でもからっとした剣客で魅せてくれたし、陰湿な役もうまいのはいろいろな映画で証明済みだ。来週以降も回想シーンで何度か出演するとはいえ、彼の比重が軽くなると、全体の芝居のレベルがやや落ちそうなのが心配だ。中村、柴田両氏ともものすごく時代劇が達者なわけではないので。