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『オリエント急行殺人事件』キャスト出そろう

4年前の三谷作品『わが家の歴史』(フジテレビ開局50周年特別企画)は、NHKやテレ朝では絶対に作れないタイプの傑作だった。今回は、三谷幸喜野村萬斎がタッグを組んでクリスティー作品をリメイク。心躍る企画である。三谷作品は、舞台≧ドラマ>>>映画。舞台『ベッジ・パードン』で繊細な漱石を演じた萬斎の、高慢ちきな和製ポアロは想像するだけでもわくわくする。

最後に公表された4人のうち、佐藤浩市が殺される悪徳実業家役。山崎努レベルの名優が凄みをきかせたらお正月気分が台無しになるので、ワルったって、浩ちゃんくらいでちょうどいい。剛力大佐が石丸幹二。ふ~ん。○○が石丸さんの親友役かぁ。大佐は悲劇の人であるにもかかわらず「人間のおかしみが浮かび上がってくるセリフに、またゾクゾクしました」という言葉が紹介されている。一歩間違えるとベタなお涙ちょうだいになる事件でも、三谷なら軽妙な人間悲喜劇に仕立てるにちがいない。奥様役の演技はちょおっっと心配。そして、女中さん演技に定評のある黒木華。彼女が賞を取りまくった映画は、監督が嫌すぎて見られないため、今回のメイド演技はいっそう楽しみである。

最大の懸念材料は、秘書の出番が不自然に多くなりかねないことだ。「勝呂は、鉄道省の重役と外科医と一緒の場面が多い」という情報はほんとうだろうな!? あとは、家庭教師に知性が欠けていたり、外交官夫人が不作法だったりってことになりませんように。

ほかのキャストについては、シドニー・ルメット監督の映画にくらべればそりゃあ豪華さでは負けるけれど、テレビで見る分にはおおむね満足。BBCのドラマよりはずっと好感が持てる。

一番安心できるのが、侯爵夫人を演じる草笛光子(でも、なぜ公爵ではないのか? 歴史をリスペクトする三谷だから、西園寺、鷹司、島津以外に勝手に公爵家を創作するのを潔しとしなかった?)。映画のすてきにおっかなかったウェンディ・ヒラーと違って、優雅で明るい貴族夫人になりそうだ。富司純子は、おしゃべりマダムぶりもさることながら、別の面をどんなふうに出していくのか興味津々。

沢村一樹は○○をぶんなぐるシーンをやってくれるかなぁ(アクション面の唯一の楽しみ)。役のために5kg増量したとかで、ふざけたりしなければ実は二の線……の本領を発揮していただきたい。
安藤伯爵を演じるのが玉木宏。よく伊勢谷ハセヒロ小泉孝太郎に持ってかれなかったなぁ。ふだんは頼りない外交官とか、○○○の腕はからっきし、とかじゃありませんように、ナムナム。原作通りの髭がないのにがっかりだし、ふつうにオールバックか七三にすればよいのに、なぜあんなに盛るのだろう? 気色ばむ演技をやってくれたら嬉しい。
車のセールスマンは、映画では出番少なめ。今回もそうだろうか。藤本隆宏氏の、重厚ではない演技もたまには見たい。
八木亜希子はアナウンサーより女優に向いている。
青木さやかは、竹中直人ばりに悪ノリしちゃうのか? 今回は八嶋智人がいないから、女・八嶋智人になる??
万年筆の販売員が池松壮亮。彼のふつうの社会人の役は初見である。MOZUとも学生とも違う顔がまだ想像できない。
映画ではジョン・ギールグッドの執事が誰よりも威厳に満ちていた。小林隆だとひたすら従順な下僕っぽくなりそうだ。

西田敏行の芝居だけは想像がついてしまう。目立たないからこその、いい役だと思う。

特別急行東洋も貴族の館も、かなり予算を投じて作ったらしい。チープさがある種の味になっている『信長協奏曲』と違って、時代色がきちんと出ないと興ざめな作品なので、柳川和央氏が悔いなく手腕を発揮できていますように。