『ダークスーツ』第4話までを見て

なんだかものすごく前のめりな演出で、ときどき背中がむずむずする。BGMも過剰ぎみ。4話で、エンディングテーマが流れ始めてからの、謎の女性が松木をひっぱたいて抱きしめられるスローモーションは、まったくいただけない。ああいうのを韓流趣味というのだろうか?
会社の危機を救うためのタスクフォースって、『メイド・イン・ジャパン』と同じだな。ここ数年見たドキュメンタリーを信じるとすれば、生き残りを果たした企業はライセンスか製造のどちらかに特化したところばかり。松木の言い分が通るのか? それとも、「ものづくりの心も忘れてはいけない! 両立するんだ!」みたいな方向に行くのだろうか?

4話では、主人公たちが取り込もうとする最上専務が裏金を使っているらしい、ということで、なんだ結局ライバルには道徳的な瑕疵がないとだめなのかとうんざりしたが、裏金は腎臓外科の権威に親友を手術してもらうため、という予想外の展開であった。そうなると、「動機が純粋なら、公金横領みたいなことしてもいいんかい?」とつい意地悪な感想を持ってしまう。
前回だか前々回だか、登場人物が「ワイロにするため」を連呼していて、いくらなんでもそんなにあっけらかんとその単語を使わないだろうと笑ってしまった。予告では「そんなことに使うために金をプールし始めたわけじゃない」みたいな台詞が聞こえた。なるべく小学生レベルの”いい悪い”だけでないお話を期待したい。池井戸頼みの企業ドラマが氾濫するなか、オリジナル脚本を担当した荒井修子は偉い、と言うべきなのか、谷口統括が偉いと言うべきなのか。

企業ドラマで、主要登場人物の奥さんが病気というパターンを、WOWOWでも見た記憶がある。できれば、妻子ネタ抜きのぴりっと締まった社会派を見たい。公私とも描かなくてはいけないという暗黙のルールでもあるのだろうか。松木はどうやら自殺した母親の仇を討つために奮闘しているようだ。これも、既視感がありすぎ。
硬派をめざしたドラマにしては、主役にdullな色気がある。あの演出で主人公までもろに熱血漢だと暑苦しくなるから、あれでちょうどいいのかもしれない。ちらりと映った小橋めぐみがあいかわらず綺麗で驚いた。